「日本再興戦略2016」「ニッポン一億総活躍プラン」ならびに「骨太の方針」の閣議決定について
東京商工会議所
わが国が直面する人口減少社会の構造的課題の克服に真正面から取り組み、持続的な成長を実現していくためのサプライサイド政策が網羅された。また、骨太の方針において政策の全体像が一覧的にわかりやすく示されており、高く評価する。
東日本大震災の復興・熊本地震への対応を強化すると同時に、第4次産業革命による新たな産業創出、少子化対策・働き方改革による労働力確保、観光・農林水産業の成長産業化による地方創生、ICT活用等による中小企業の生産性向上、規制改革・行政手続きの簡素化など、低下しているわが国の潜在成長率を引き上げるのに必要な分野に幅広く目配りがきいた内容となっている。
また、一億総活躍社会の基盤となる国民の予防医療・健康づくりを初めて戦略の柱に据えたことも大きな意義があり、支持する。
一番の課題は、実効性とスピードである。財政健全化の制約がある中で、今後少子化対策を実行していくためには、安定的な恒久財源をいかに確保するかが重要である。経済の好循環による成長の果実を分配するとともに、社会保障給付の重点化・効率化、高齢者の応能負担割合を高めるなど、世代間の負担の分配を軸にした社会保障改革により財源を生み出し、少子化対策にシフトする財政構造改革が必要不可欠である。
また、定められたKPIについて、しっかりとPDCAサイクルを回し、構造改革を早期かつ確実に進めることをお願いしたい。
商工会議所としても、成長戦略の実行主体である民間企業、とりわけ中小企業の活力強化、ならびに地方創生、一億総活躍社会の実現に全力を尽くす所存である。