中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果(10~12月期)
平成12年12月26日
東京商工会議所
・調査期間 : 平成12年12月5日~10日
・調査対象 : 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 : 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 : 451社(回答率94.7%)
Ⅰ.調査結果概要
平成12年10~12月期の資金繰り(平成12年7~9月期に比べた平成12年10~12月期の状況)は「好転した」と回答する中小企業は7.3%と、前回調査(平成12年4~6月期に比べた平成12年7~9月期の状況)の3.3%から4.0ポイント増加したものの、「悪化した」と回答する企業は前回に引き続き2割を超えており、二極化がさらに顕著となった。
民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」5.9%と「相変わらず厳しい」55.7%の合計)と回答する割合が借入れをしている企業の61.6%となり、前回調査(63.8%)とほぼ同水準であり、「厳しい」と感じる主な理由としては前回と同じく、「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげている割合(39.6%)が高い。
貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合が61.5%と、前回調査(62.9%)とほとんど変化がなく、経営環境の厳しさに不安を感じている企業は依然約6割を占めている。
Ⅱ.回答企業の概要について
製造業 | 建設業 | 卸売業 | 小売業 | サービス業 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|
93社 | 46 | 67 | 153 | 92 | 451 |
20.6% | 10.2 | 14.9 | 33.9 | 20.4 | 100 |
Ⅲ.調査結果
〔質問1〕
前期(平成12年7~9月期)に比べた今期(平成12年10~12月期)の資金繰り状況はどうですか。
○ 資金繰りが「好転した」と回答する中小企業は7.3%と、前回(平成12年7~9月期)調査の3.3%より4.0ポイント増加したものの、「悪化した」と回答する企業は約2割を占め、回答企業の大半が「変わらない」と回答している。
1.好転した | 2.変わらない | 3.悪化した | 4.無回答 | 合 計 | |
---|---|---|---|---|---|
H12.12月期 | 33社(7.3%) | 302(67.0) | 107(23.7) | 9(2.0) | 451 |
H12.9月期 | 15社(3.3%) | 306(67.7) | 121(26.8) | 10(2.2) | 452 |
〔質問2-1〕
民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成12年7~9月期と比べて変化がありましたか。
○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「借入れしていない」「わからない」「無回答」の企業を除く219社をみると、「更に厳しくなった」が5.9%、「相変わらず厳しい」は55.7%と、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業は6割を超えて(61.6%)いて、前回(63.8%)からは2.2ポイントわずかながら減少したものの、横ばいの状態となっている。
○ 産業別にみると、「更に厳しくなった」と回答する割合が製造業では7.1ポイント、建設業では8.9ポイントとそれぞれ増加しており、特に建設業では「厳しい」(「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する割合は約8割と大多数を占め、非常に厳しい状況にある。また、サービス業では「相変わらず厳しい」と回答した企業は前回より7.6ポイント増加し59.0%と「厳しい状況」が続いている。一方、小売業では、「緩くなった」と回答した割合が前回から3.5ポイント増加し7.1%、特に小売業では「厳しくない」と回答する割合が5.4ポイント増加し約3割になるなど改善の兆しがみられるなど業種間のばらつきが顕著となっている。
さらに厳しくなった | 相変わらず厳しい | 厳しくない | 緩くなった | ||
---|---|---|---|---|---|
全業種 | H12.12(219社) | 5.9 | 55.7 | 32.4 | 5.9 |
H12.9(224社) | 5.8 | 58.0 | 32.1 | 4.0 | |
製造業 | H12.12 (56社) | 7.1 | 44.6 | 39.3 | 8.9 |
H12.9 (55社) | 0.0 | 54.6 | 41.8 | 3.6 | |
建設業 | H12.12 (33社) | 15.2 | 63.6 | 18.2 | 3.0 |
H12.9 ( 32社) | 6.3 | 68.8 | 18.8 | 6.3 | |
卸売業 | H12.12 (35社) | 2.9 | 60.0 | 37.1 | 0.0 |
H12.9 (44社) | 4.5 | 56.8 | 34.1 | 4.6 | |
小売業 | H12.12 (56社) | 5.4 | 57.1 | 30.4 | 7.1 |
H12.9 (56社) | 10.7 | 60.7 | 25.0 | 3.6 | |
サービス業 | H12.12 (39社) | 0.0 | 59.0 | 33.3 | 7.8 |
H12.9 (37社) | 8.1 | 51.4 | 37.8 | 2.7 |
〔質問2-2〕
その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。
(質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した135社・複数回答)
○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が39.6%で、次いで「業界・地域における景況の悪化」が29.2%となった。「その他」では、「金融機関を取り巻く環境の変化」という回答が目立った。
H12.12 件数(135社に占める割合) | H12.9 件数(143社に占める割合) | |
---|---|---|
1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 | 61件(39.6%) | 67件(43.2%) |
2.自社の経営の悪化 | 40件(26.0%) | 44件(28.4%) |
3.業界・地域における景況の悪化 | 45件(29.2%) | 32件(20.6%) |
4.その他 | 6件( 3.9%) | 9件( 5.8%) |
5.無回答 | 2件( 1.3%) | 3件( 1.9%) |
〔質問2-3〕
貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。
(質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した135社)
○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は16.3%と前回(11.2%)に比べ若干増加、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」と回答する企業は45.2%と半数をきったが、貸し渋りによる経営への影響を懸念している企業の割合は約6割という状態のままである。
H12.12 | H12.9 | |
---|---|---|
1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている | 22社(16.3%) | 16社(11.2%) |
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う | 61社(45.2%) | 74社(51.7%) |
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる | 48社(35.6%) | 48社(33.6%) |
4.わからない | 4社( 3.0%) | 5社( 3.5%) |
5.無回答 | 0社( 0.0%) | 0社( 0.0%) |
合 計 | 135件 | 143件 |
以上