各種調査

各種調査 イメージ画像

「中小企業におけるIT導入と生産性向上に関する実態調査」結果報告書について

平成22年3月15日
東京商工会議所

 東京商工会議所(岡村正会頭)では、「中小企業のIT有効活用による生産性の向上」と「IT業界、とりわけ中小ベンダーの活性化」を目的に「中小企業におけるIT導入と生産性向上に関する実態調査」を実施し、標記報告書(A4判、247ページ)および調査結果のエッセンスを抽出した普及版小冊子「これならデキル!わが社のIT生産性向上革命」(A5判、48ページ)をまとめた。調査の概要と結果は以下の通り。

1.調査の概要

(1)アンケート調査
調査対象:東京23区内の中小企業800社(一般の中小企業500社、ITベンダー300社)
調査期間:平成21年8月3日(月)~8月18日(火)
調査方式:留置自記入法(郵送配布・訪問点検回収)
回答数:548社(回答率68.5%)

(2)事例調査
調査対象:東京23区内の業績が良好な中小企業21社(一般の中小企業11社、ITベンダー10社)
調査期間:平成21年11月~平成22年1月
調査方式:経営者または幹部に対するヒアリング調査

2.調査結果のポイント

(1)アンケート調査の主な結果
【一般の中小企業について】
①ソフトウェアを購入した場合、ソフトウェアに合わせて仕事のやり方を変えた方が、当該業務の生産性が上がる可能性が高い。
○生産性が向上した企業のうち、仕事の「やり方を変えた」:「変えていない」=78.1%:39.5%
②コンピュータ・携帯電話を活用している企業の方が、増収・増益の割合が大きい。
○3年間売上増加傾向の企業のうち「活用している」:「していない」=12.3%:3.7%
○3年間利益増加傾向の企業のうち「活用している」:「していない」=10.4%:3.8%
③ソフトウェアの開発やホームページの制作を外注する場合、「サポートの良いベンダー」を選ぶと好結果(生産性向上、販路開拓)を得やすい。
○ソフトウェア開発でサポートの良いベンダーを選んだ企業のうち「生産性が上がった」=81.3%
○ホームページ外注でサポートの良いベンダーを選んだ企業のうち「新規の受注が獲得できた」=69.2%

【ITベンダーについて】
①代理店等の活用やプロモーション(プレスリリース/専門誌の広告)を行っているほど、業績が良い。
○パッケージをディストリビューターへ販売している企業のうち「予想以上に売れている」=40.0%
○プレスリリースを行っている企業のうち「予想以上に売れている」=33.3%
②継続的な取引先で、コミュニケーションや契約書作成がきちんと行われているほど、採算が取れている(開発請負、ウェブ制作)。
○開発請負で契約書を作成した企業のうち「黒字」=54.5%
○ウェブ制作で契約書を作成した企業のうち「黒字」=54.1%
③下請けをする場合、総合的なベンダーからの下請けの方は業績が良く(黒字=80.0%)、二次下請けはあまり良くない(黒字=25.0%)。

(2)事例調査の主な結果
【一般の中小企業におけるIT活用の工夫】
①戦略的な業務はシステム化しない方法もある。
②一般的なソフトであっても自社独自のやり方で高度活用できる。
③従来から使っているシステムをメンテナンスしながら上手に使い続ける。
④営業専従者は雇えなくても、WEBサイトで販売する、ブランドを広げる。
⑤ブログやグループウエアで社内のみならず社外との双方向コミュニケーションを狙う。

【ITベンダーにおける中小企業の強い味方となるための取り組み】
①顧客を知る、業務を理解するための徹底した取り組み。
②ユーザーとのコミュニケーションを促進する姿勢を示し、行動する。
③企業経営がわかる社員の教育。

中小企業のためのIT生産性向上10カ条 中小企業にとって良いベンダー10カ条
第1条 業務の「見える化」を行う クライアントの業務を十分に理解する
第2条 問題点を把握する 課題の解決方法を提案する
第3条 IT投資のロードマップを描く 経営者のITへの理解を深める
第4条 自社で開発するか外注するかを決める 従業員のITリテラシーに合わせたシステムを提案する
第5条 ベンダーの力量を知る 常にクライントとのコミュニケーションを欠かさない
第6条 自社のニーズを理解してもらう 開発チームはもとより、下請先ともコミュニケーションをとる
第7条 ベンダー任せにしない 書面をきちんと整備する
第8条 効果を測定し、検証する クライアントの要望を汲み取ることのできる人材を育成する
第9条 競争力を高めるIT化を進める 新しい技術を学ぶ
第10条 企業全体のITリテラシーを高める 中小企業と継続的な関係を築く

以上

以上