会頭コメント

会頭コメント

「経済財政運営と改革の基本方針2025」「新しい資本主義のグランドデザイン 及び実行計画2025年改訂版」の閣議決定について

2025年6月13日
東京商工会議所

 今次基本方針及び実行計画において、成長型経済への移行に向け、「中小企業」と「地域」に重点を置き、具体的な打ち手が示されたことを高く評価する。
成長戦略の要とされた持続的な賃上げの環境整備に向けて、施策の迅速な実施を期待したい。

 雇用の約7割(三大都市圏を除くと約9割)を担う中小企業における賃上げの気運は続いているものの、物価高や米国関税措置等のリスクに直面する中、多くの中小企業は収益確保に苦しんでいる。原資となる付加価値確保に向け、「パートナーシップ構築宣言」の推進を通じた取引適正化への取組みを深化させ、価格転嫁が適切に行える商習慣の定着を図られたい。

 今回の「中小企業・小規模事業者の賃金向上推進5か年計画」の省力化投資促進プランは、生産性向上に有効である。今次計画には商工会議所の経営支援体制強化が盛り込まれており、国と地方の協力の下に予算の充実を図られたい。
商工会議所は総力を挙げて、DX、GX、創業や事業承継、イノベーション創出への知財活用促進、海外展開・輸出拡大等、経営者の付加価値拡大への挑戦を伴走支援していく所存である。

 最低賃金については、法定三要素のデータの重要性が示されたが、政府方針「2020年代に全国平均1,500円」は、中小企業の実態を踏まえたものとは言い難く、中央・地方の審議会における納得感のある審議と決定を期待したい。

 今回、石破政権が重視する「地方創生」が強く打ち出されていることは大変心強い。「地方創生2.0」の本格稼働に向け、地域資源の高付加価値化による輸出促進、観光の成長産業化、地域課題解決への投資拡大、地域を担う人材の確保・育成等、多面的な取組みに商工会議所は中核として関与してまいりたい。

 また、大規模自然災害に備え、防災・減災・国土強靭化を推進するとともに、能登半島地震や東日本大震災の復旧・復興も継続されたい。

以上