会頭コメント

会頭コメント

10-12月期GDP速報について

2001年3月12日
東京商工会議所

 10-12月期のGDPが2期ぶりにプラスに転じたのは好ましいことだが、輸出が鈍化し、個人消費が依然として低迷する中で、牽引力となっていた設備投資の伸びも今後は期待できず、日本経済が危険水域に入りつつある事態に変わりはない。鉱工業生産指数や消費者物価指数(東京都区部)が過去最大の下げ幅を示すなど、デフレ圧力の急速な高まりが顕著になりつつある。GDPの政府目標が達成できるかどうかも決して楽観できる状況にはない。
 デフレ・スパイラルに対する懸念が強まりつつある中、日本経済を覆う閉塞感を払拭するためには、まず予算関連法案を含めた来年度予算案の早期成立を図ることが何よりも重要である。金融政策にはおのずから限界がある以上、これを有効に機能させる意味でも財政面からの対策をフル稼動していく以外にないだろう。そのためには、経済構造改革に十分役立つ分野への投資に重点を置きつつ、公共事業の前倒し執行が必要である。さらには、補正予算の編成が必要となるなら、ためらうことなく早目早目に手を打っていく必要があるだろう。もとより民間においても構造改革に向けた不断の努力を怠ることがあってはならない。
 そして何よりも、政局の混乱が許されないことはもちろんだが、経済低迷の一因に、政治に対する信頼が著しく損なわれている事実があることを与野党とも肝に銘じてもらいたい。

以上