会頭コメント

会頭コメント

物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策について

2022年10月31日
東京商工会議所

 水際対策の緩和でインバウンドも再開され、コロナ禍からの回復が進んでいる一方で、国民生活と企業経営は急速な円安や物価上昇に見舞われている。地政学的リスクが高まり、海外経済の鈍化傾向もみられる中、物価高を克服し、わが国経済を持続可能で一段高い成長へと導くことを目指した、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」が閣議決定されたことを歓迎したい。

 円安の急伸は、諸外国との金融政策の違いもあるが、わが国の国際競争力の低下を反映したものであり、真に困窮する者への支援と同時に、潜在成長率を抜本的に底上げする成長戦略の実行と将来的な財政健全化への道筋の提示が急務である。物価が上昇する中、企業収益と賃金がともに上昇する経済の好循環を創造するためには、民間投資を大胆に呼び起こす必要があり、DXやGXなど成長分野への長期計画的かつ大規模な政府支出で企業の成長期待を高め、デフレからの脱却を実現されたい。
 また、構造的な賃上げを実現するためには、その原資の確保が不可欠であり、政府には、取引適正化の実効性確保などのビジネス環境整備にあわせて、中小企業の挑戦を強力に後押しされたい。商工会議所では、デジタル化や事業再構築などの中小企業の自己変革の取組みを伴走型で全力で支援してまいりたい。

 足元の対策では、エネルギー価格高騰への負担軽減を図る一方、家庭や企業の省エネへの取組みを強力に推進するとともに、エネルギー安定供給に向け、原発再稼働など原子力政策の一層の加速化を期待したい。また、円安メリットを活用するため、中小企業の輸出拡大やインバウンドの推進、経済安全保障の観点から製造業等の国内回帰やサプライチェーン強靭化への支援を拡充し、国内投資拡大を通じた、地域の良質な事業と雇用の創出を図る必要がある。

 コロナ対策については、新型ワクチン接種や治療薬供給を進めるとともに、今後インフルエンザとの同時流行が発生しても耐えうる体制整備を求めたい。また、新型コロナを日常的な病気とする感染症法の見直しなど、エンデミックへの工程表を早急に示し、コロナマインドを払拭すべきである。

以上