会頭コメント

会頭コメント

小渕前首相のご逝去にあたり

2000年5月14日
東京商工会議所

 小渕前総理が亡くなられたと聞いて、暗然たる思いだ。誠にお気の毒であり、心からご冥福をお祈り申し上げる。
 小渕さんは、戦後最大の経済危機に際して総理として大胆な景気対策を打ち出すとともに、金融システムの安定のための関連法を仕上げられ、日本発の恐慌を回避した功績は特筆されるべきである。景気を回復軌道に乗せる段階にまで引き上げ、予算編成も手際よく仕上げられた。また、昨年の臨時国会では総理自ら「中小企業国会」と命名され、抜本的な中小企業対策を打ち出された功績は高く評価される。商工会議所が要請した総額30兆円の中小企業の経営安定に向けた特別保証制度は、貸し渋り対策として大きな成果を上げており、小渕総理の決断力と実行力の賜物と深く感謝している。
 ただ、連立政権ならではの国会運営の難しさもあったと思う。総理として、全国各地を精力的に回られ、本当に一生懸命職責を全うされた方だった。いろいろな会合でお会いする機会も多かったが、飄々としたイメージとは裏腹に固い信念と実行力をお持ちの方だった。心労と疲労が重なった結果、熱意を傾けておられた沖縄サミットを前にこのような事態になりご本人もさぞかし無念だろう。

以上