参議院議員選挙結果について
東京商工会議所
このたびの参院選によって、連立与党(自民党・公明党)が改選議席数の過半数を上回ることとなったが、政権与党としてのこれまでの実績と安定性といった点が、国民による一定以上の信任と評価を得た結果だと思う。
今回の選挙戦では、消費税率引き上げ論議に加え、国民の所得向上に密着したテーマ、とりわけ年金問題が議論を呼んだ。今後、人口減少と少子高齢化が急速に進むわが国において国民が将来の安心をどのように確保していくのか、財政健全化、公平な給付と負担のあり方を含む社会保障改革など、長期安定政権であればこそ取り組めるこれらの課題について、早期かつ真正面から議論を始めていただきたい。
10月に迫る消費税率引き上げでは、価格転嫁対策に万全を期しつつ、需要平準化対策を着実に実施し、景気後退懸念を払拭することが重要である。初めて導入される軽減税率制度については、混乱回避に向け、広報や事業者の万全な準備に引き続き十分な支援を望みたい。また今回、ひとつの争点となった最低賃金の引き上げには、中小企業の生産性向上が大前提となる。政府・与党にはそのための支援と取引適正化等の環境整備にこそ全力で取り組んでいただきたい。
あわせて、わが国を取り囲む国際情勢は米中貿易戦争に端を発した世界経済の減速懸念、安全保障上のリスクなど先行きの不透明感が高まっている。こうした中でわが国がどのように処していくべきか、各政党は党派を超えて、この大きな問題に対する議論も深めてほしい。