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同業仲間が心の支えに…情報を惜しみなく共有してコロナ禍を乗り切った

有限会社 藤ノ木商工

代表取締役 下田 眞弘さん

下田 眞弘さん

創業66年、来客の絶えない人気のパン店

創業1957年の老舗パン店、「Home Bakery 藤ノ木」。お店に入るとズラリと並ぶ約60種類のパン! ドアを開けるとふわりと香ばしいパンの香りに包まれます。

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上石神井駅から徒歩4分。
赤いひさしと大きな看板に描かれた美味しそうなパンが目印!

よつ葉バターをたっぷり使った「塩バターパン」、大粒くるみがゴロゴロ入った「くるみパン」、極太フランクが食欲をそそる「ジャイアントBoo」、自家製カレーが入った自信作「カレーパン」など…。美味しいラインアップに目移りしてしまいます。
メロンパン、チョココロネ、あんパン、ねじりパンなど、昔ながらの菓子パンが置いてあるのも老舗ならでは。種類に応じて使い分けるこだわりの自家製酵母で作るパンは旨みたっぷり。大きめの冷蔵ケースには惣菜パンが豊富に並び、ランチ需要にこたえています。

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ナイル商会(練馬区豊玉)のマサラを使ったカレーは社長の自信作!
にわとりのパッケージが目を引く、優しい甘さで食べやすいサイズのたまごパン

コロナ禍の課題は、店内の感染対策と従業員確保

 リモートワークやイエナカ需要のため、地元密着型の路面店である藤ノ木は客数が増え、店内での感染対策が課題になりました。

入店制限を感染状況に応じて行い、定員を超える場合はお客様に店外で待っていただくことも。「自主的に外で待ってくださるお客様もありました」と、下田社長は振り返ります。

頭を悩ませたのは、それまで裸で陳列していたパンを個包装しなければならなくなったこと。焼きたてを提供したい町のパン屋さんとしては葛藤がありましたが、冷ましたものを袋詰めして並べ、プラスチックのカバーを付けました。要望があれば出来立てを出すなど臨機応変に対応したそうです。

 そして、一番苦労したのは従業員の確保でした。感染者、濃厚接触者になると当人は数日間休まざるを得ませんが、どうやって営業するか。人員減の状態でも、アイテム数や生地の種類を絞るなど、工程を削減する工夫をして乗り越えたので、臨時休業は2日間ほどで済みました。

また、宣伝に活用していたSNSで求人を出したところ、お店のファンの方からの応募がありました。コロナのための対策でしたが、その後の経営の財産になることもあるんですね。追い込まれると同時に得るものもありました。

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個包装のうえにプラスチックケースをかぶせて感染対策
(現在は状況に応じて対応しています)

画像認識型AIレジに加え、コロナ禍で自動釣銭機を導入

 藤ノ木では画像認識型AIレジをコロナ前から導入しています。商品を事前にAIに登録しておくと、会計時にカメラ画像を読み込んで瞬時にレジに反映します。これにより店員の熟練度に関係なく、新人でも会計業務を行うことができるようになりました。

 コロナ禍になってからは、食品を扱っていることもあり現金授受を避けるため、自動釣銭機を導入しました。買上げ点数が多く、袋に入れながら会計するパン店の会計は時間がかかるのが一般的ですが、藤ノ木の会計は驚くほどスムーズ。会計ミスも防げるうえ、より多くのお客様の対応が出来るようになり、作業効率化につながりました。

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画像認識型AIレジ。画像を読み込みレジに反映される
現金を触るのはお客様のみとなる自動釣銭機

不安なコロナ禍…。支えになったのは同業の仲間たちだった

 AIレジや自動釣銭機導入、SNSで告知強化など、チャレンジ精神あふれる下田社長。その思い切りの良さは、同業の仲間たちとの情報交換があったおかげ、と言います。

「20年以上前になりますが、当時の問屋さんが同業の仲間を紹介してくれました。地域は結構離れているのですが、どういうわけか馬が合って。互いに切磋琢磨して商売を続けてきました。自動釣銭機も仲間の後押しがあり、迷わず踏み切れました。レシピも公開しあうほどの仲なんですよ(笑)」

同業でしか分かり合えない苦労や喜びをともにしてきた仲間は、コロナ禍で不安な時に大きな心の支えになりました。

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毎朝5時から工房に立つ下田社長

今後の展望は…

 同業仲間のつながりで、菓子職人との交流の機会も得ました。パン職人から見た菓子職人の仕事には、商売のヒントがあったそうです。「パンと同量の材料で菓子はできる量が違う。原料高の今はとても参考になります。これからは焼き菓子も勉強していきたいと思っています」

人と人のつながりを大切にする下田社長の発想は柔軟でしなやか。若い職人さんやパートさんの意見も積極的に取り入れて任せ、常にお店をアップデートし続けています。

「最近のヒットはクロワッサンです。若い職人が層の入れ方を工夫してレシピを改良しました。サクサク感がアップし好評を得ています。また、新作を作るときにはお客様と同じ感覚を持っているパートさんに食べてもらうのが一番です」

 今後は練馬産食材を使用した商品や、ベーグルなどの冷凍パンの販売も構想中とのこと。進化を続ける「Home Bakery 藤ノ木」から、これからも目が離せませんね。

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種類豊富なパンが並ぶ店内。「今日は何にしようかな♪」

東京都練馬区上石神井1-17-18(西武新宿線上石神井駅より徒歩4分)TEL: 03-3928-2337

ホームページ: https://fujinoki.jp 営業時間 8:30~19:00/木曜定休

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