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導入企業事例

導入企業事例

日本特殊光学樹脂株式会社

日本特殊光学樹脂株式会社 代表取締役 佐藤 公一 (事業企画本部 尾澤 香奈) (業務部 皆川 仁伽)

高品質・高精度の
プラスチックレンズメーカー。
国内企業のみならず、
50カ国以上にわたる外国企業と取引

  • 製造、生産管理
  • 21名以上~50名以下
  • 業務効率化・省人化・業務改善
  • 技能伝承・脱属人化・人材育成
  • 稼働率向上・見える化(機械設備・人)
  • ハードウェア(機械、タブレットなど)
  • 生産管理システム、販売管理システム(製品・部品在庫管理、原価管理など)
  • コミュニケーションツール(グループウェア、共有アプリなど)

業務フローの曖昧さを解消すべく、
見える化に挑戦

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

現場で課題と向き合う

誰かがなんとなくやって進む
業務の流れは、課題が山積み

父が創業した当社に私が入社したのは2006年。当時は金型台帳すらなく、受注してから金型を探す、それも担当者がいるわけではなく、誰かがわかるだろうと都度社内で確認するような状況でした。そこで私が金型に番号をつけ、その特徴も記してExcelでデータベースを作り、金型台帳を完成。台帳への記入をルールとする仕組みづくりを行いました。
 しかし、当社には業務改善を推進しなくてはならない、根本的な課題があったのです。それは、受注から出荷までの一連の流れにおける色々な決め事はあったものの明文化されておらず、責任の所在も曖昧で、仕事の効率化を妨げていたということです。例えば、案件を受注すると、金型台帳のマスターに登録するためにスペックを決める生産会議を実施しなくてはならないのですが、誰が声を掛けるか・いつ開催するか決まっていませんでした。となると、結局、気が回る人がその誰かの役目を果たすことになり、その人たちに仕事が集中し負荷が増していくことの弊害が散見されていました。

2スマートものづくり実践

スマートものづくり実践

アドバイザー&新規人材により
システムを動かす

私は情報収集のために参加していた金融機関主催の販路開拓のセミナーで、講師を務めていた方が実践的な話をしてくれたことに感銘を受け、当社の販路開拓のコンサルティングをお願いしました。中小企業基盤整備機構のアドバイザーでもあったその方からのご紹介で、業務フローの可視化を要望していた当社に適したITのアドバイザーを中小企業基盤整備機構が派遣してくれることになり、2020年から新たな取り組みをスタートさせました。それまでも業務フロー図やドキュメントは一応あるものの、バラバラだったり書き方が統一されていなかったりして、作っても誰も参照してくれていなかったものを、システム化してなんとか活用できるものにしたいと考えていました。毎月2回のペースでブレーンストーミングをしながら形を作っていく流れで、システム化の起点として業務プロセスの可視化・管理することができる「iGrafix」というソフトを選択することに。単に業務フローの可視化だけならお絵かきソフトでもいいですが、その先の管理のしやすさや応用を考えるとこれが最適でした。当社が使用しているサイボウズのソフトにリンクできたり、フォルダに保存されているドキュメントにアクセスできたりとポータルサイトのような形で使うことができたのが決め手でした。
 しかしながら、このソフトを導入したものの、長年会社にいる人間は紙からの脱却ができずチャレンジに尻込みしており、ソフトを使いこなす人材に困っていました。そうしたところへ、人からの紹介で入社してきたのが尾澤です。前職では基幹システムを操作する機会が多かったこと、何よりも新しいソフトに触れられるのが楽しいと破顔して、自らセミナーやレクチャーを受けて勉強して進めてくれました。
 尾澤が入社した2021年7月から、当社の標準的な業務フロー可視化の試験的な取り組みが着実に進められています。「iGrafix」には、業務フローの一つ一つが登録できるようになっており、作業担当者、業務内容、使用する帳票類、使用するシステム、その作業の手順がどこに定義されているかまで全て組み込まれています。また、業務請負フローの一部はサイボウズと大塚商会の「Ryu-jin」という生産管理ソフトにも連携しています。
 社員には1人1 台のタブレットやパソコンを支給し、誰でも使える環境も整備。そこに入社したばかりなのが、当社の「本物を創る」という社風に惹かれたのが志望動機だった皆川です。現在、海外向けのオンラインショップの出荷業務を担当しています。当社では50 カ国以上の海外のお客様との取引がありますが、国や地域ごとの送料やそもそも配送できるのかどうかの確認が必要になるため、まず送料の見積もりを行い、それで承諾が取れたら受注。そこまでの業務フローは「iGrafix」にて行うことができます。その後の出荷対応として、テレワーク中の別の社員が出荷処理の書類を作成し、その書類を実際に出荷する製品に貼付するのは皆川が実施するなど、ITを活用することでテレワークスタッフと出社している社員とのコンビネーションがうまく機能できています。

3課題解決

課題解決

業務の効率化&
短納期により売上増加。
突発的な指示をなくして
ストレスの少ない現場作り。

今回の業務フローの可視化という取り組みは、中小企業基盤整備機構のアドバイザーに入ってもらう形の支援事業を利用したので、2週間ごとに状況を報告しなくてはならず、それにより効率的に進捗できたと思っています。また、このチャレンジを前向きに進めてくれる人材をタイミングよく得られたことも大きいと感じています。本件に係る費用は、ソフト導入に数十万円、アドバイザーへの費用負担は1回あたり1万5千円。ベンダーに丸投げしてしまう方法も選択できましたが、それでは費用ばかり膨らんで人任せになってしまう。幸い、その部分を当社では社員の力でカバーできたと実感しています。1人1台のタブレット&パソコン支給の直後にTeamsを導入した時は、自発的に社内のITが得意な人が他の人に教えてくれたといったこともあり、ほとんどの社員がすぐに使えるようになりました。手書きだった日報をタブレット内の「Ryu-jin」への入力に変えた当初は間違いも多々ありましたが、試行錯誤をしながら今ではかなりスムーズにできるようになっています。日報が電子データ化できると統計データとして活用が可能になることも期待しています。
 このシステム全体の完成形を待っていたらなかなか実働できないので、走りながらどんどん改良していく方法で進めていく予定です。2022年4月に入社する新入社員のトレーニングに使えることをローンチのタイミングの目標として、その後はPDCAを回して改善していくという良い循環を図っていきます。
 今回の可視化の取り組みの中で、私が最も重視したのは生産計画のフローや仕組み。当社の受注には標準品、カスタム品、特注品の大きく分けて3種類がありますが、従来のようにそれぞれ受注してから生産計画を立てる形では、生産現場が注文によってドタバタしてしまう。そこで、適正な標準品在庫をある程度持っておき、それにより計画的に当社のペースで注文に左右されずに生産計画をできるようにしたい。そして、その先の生産工程のリードタイムを縮めれば短納期が可能になり、結果的に出荷数が増え、売上増加に繋がります。突発的な作業指示が出ることは社員の精神的なストレスの原因にもなるので、余裕を持った計画的な仕事ができる体制にしたい。こうした実現には、今回の業務フローの可視化が必然だったと考えています。
 また、現在、国内と海外の売り上げ比率は7:3くらいですが、それを5:5にしたい。当社の特殊な製品や技術は海外での営業インパクトが大きいので、その開拓にも注力していきたいと思います。業務フローの可視化により受注から出荷までの効率化および改善が進むことにより、この販路開拓にもさらに情熱を注ぐことができると考えています。

走りながら改良していく、柔軟な考え方で進めていこう。

走りながら改良していく、柔軟な考え方で進めていこう。
  • 伴走型支援事業により外部からのアドバイザーとともに進めると、スケジュール管理が確実にできて捗る。
  • システムは、導入した先の姿(改良や応用)を考えて選ぶ。
  • 社内の担当者は、ベテランより、新人でもやる気のある人を。
  • システム導入の完成形を待たずに、できるところから進めて実働させていく。

企業情報

会社所在地:本社:東京都板橋区蓮根2-16-10、
熊谷工場:埼玉県熊谷市御稜威ヶ原138-6

電話:03-5916-0801
従業員:29名
創業:1974年
資本金:1,000万円
web:https://www.ntkj.co.jp
2022年2月時点