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導入企業事例

導入企業事例

根岸産業有限会社

根岸産業有限会社 代表 根岸 洋一

職人の手作りでしかできない
世界屈指の品質のジョウロ。
国内外で高い評価を獲得。

  • 受発注
  • 顧客対応・営業
  • 5名以下
  • 販路拡大
  • 自社技術、情報の発信・ブランド化
  • ECサイト
  • 各種SNS(YouTube、Facebook、インスタグラムなど)

製造に専念するため、
情報収集から販売までweb上で展開

スマートものづくり
事例MOVIE

1現場で課題と向き合う

現場で課題と向き合う

極めてアナログなジョウロ作りの世界に
IT をどう取り入れるか

当社は1944年に祖父が創業後、父が継ぎ、2010年、代表に就任した私で3代目です。盆栽に欠かせない繊細な水やりができるジョウロは当社独自のもので、顧客の要望を取り入れながら改良を重ねて進化し、国内外に多くの顧客がいます。
 私が子供の頃は家と作業場が一緒だったので、見よう見まねでジョウロ作りを覚え、学生時代やシステムエンジニア(SE)として15年間勤務していた時も、家業に携わってきました。現在も毎日作業場でコツコツとジョウロを作り続けています。
 ジョウロの素材は銅や真鍮で、壊れた場合に修理できるよう、竿や持ち手など各部は全てハンダ付けして完成形品にしています。材料を切断する、丸めて形を作るなどの工程は人力で行い、ハンダ付けにはバーナーではなく七輪を使用するなど、ジョウロ作りの作業は非常にアナログな世界です。そこへITを取り入れるにはどうしたら良いかをずっと考えてきました。当社のような少人数の企業では、営業や販売などの仕事をITを使って省力化すれば、ジョウロ作りに専念できると思ったからです。

2スマートものづくり実践

スマートものづくり実践

ECのチャネルを増やし、
海外顧客を獲得

もともとSEだったノウハウを活用し、2010年に私が会社を継いでからは、パソコンにジョウロや顧客ニーズに関する情報を自動的に収集できる設定をして独自のデータベースを作っています。それにより、個人の方が発信しているSNSなども見つけることができ、その中から本気でジョウロを作ろうと思っている人を弟子にして、ジョウロの知識や作り方を教え育てています。そうやって育成した弟子はスペインとイタリアの人で、現在、ヨーロッパでの販売のサポートをしてくれるようになりました。ITが繋いだご縁です。
 また、販売にはECサイトやECモールを活用しています。ECモールであれば世界中から24時間受注可能な仕組みなので、私がジョウロ作りに集中している間にもオーダーを受けることができます。当社のECは、様々なチャネルがあるのが特徴です。当初は、自社直轄ECサイト、百貨店が運営するウェブサイト内ページ、大手ECモール(楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon)でしたが、4年ほど前から越境ECも行っています。さらに、それらを経由して、欧米の盆栽家やバイヤーなどからも注文が入ります。越境ECを導入したきっかけは、16年に海外向けTV番組の盆栽特集で当社の製品が紹介されたことです。盆栽は海外にも多くの愛好家がいますから、ジョウロについて様々な問い合わせがありました。それをチャンスと捉えて、正しいジョウロの知識や当社製品の特徴を海外へ発信して類似品を防ぐこと、さらには、世界各国の顧客確保を図ることにしました。
 コロナ禍でステイホームが提唱された影響で盆栽を楽しむ人が増え、当社の受注も増えています。しかし、単純には喜べません。職人が手作りして完成できるジョウロは、1日にせいぜい4個。現在、注文をいただいても2年半待ちの状態です。さらに、SNSなどで個人のユーザーの方からの問い合わせや注文も増加傾向にあり、こうした新たなBtoCの関係性と、長年取り引きしているBtoB の方々との信頼関係の共存が現在の課題です。

3課題解決

課題解決

情報収集が
次のチャンスを生む

今、私たちはネット社会に生きているわけですが、このような環境は過去になかったので、前例がほとんどありません。それはメリットであって、「前例がないから自分たちで考えていくしかない。だから自由にやれるのだ」と前向きに捉えています。当社の場合は、盆栽用のジョウロがメイン商品であり、ターゲットは定年退職後の60代以上の方。となると、テレビや新聞にマッチする世代ですが、SNSにはマッチしません。ターゲットとしている世代にマッチしたウェブサイトにするため、あえてスマートフォン対応ではないレトロな仕様にしています。スマホ対応のウェブサイトだと、レイアウトがどれも似かよってしまうので、レトロさを承知の上での戦略です。ウェブサイト制作にかかった費用は、ホームページビルダーの廉価版ソフトの購入費としての1万円程度のみ。豪華な作りを望んでいないので、外注する必要もなくこれで十分です。ウェブサイトは企業が存在している証であればいい、情報発信や営業活動はECモールで展開できます。ECモールでは、多くの顧客の声を得られ、製品作りに直接活かすことができます。この流れにより、ブランド名が印字されていなくても製品を見ただけで当社のものだと認識されるほど最高級のジョウロを製造しているという自負があります。
 今後は、DX(デジタルトランスフォーメーション)に挑戦してみたいと考えています。大手IT関連企業が自前のシステムを使って、中小企業のものづくりの現場にDXの機会を与えてくれるような情報もインターネット上で見かけます。当社のような小さな企業が、自力でゼロからDXをするのは難しいので、そのような機会があったらぜひ乗ってみたいと考えています。「常に情報を収集していくことで次のチャンスに繋げていきたい」、それが当社のIT戦略の原動力です。

ITの技術や人材があるかは不問、トライ&エラーの気持ちが必須

ITの技術や人材があるかは不問、トライ&エラーの気持ちが必須
  • 「失敗したっていい、とにかくやってみよう」という姿勢がまず大切。それなくして何も始まらない。
  • 小規模の企業だからこそトライ&エラーがしやすい。失敗してもたいしたことはないと考える。
  • ECモールによって顧客層が異なるので、ターゲットに合わせたモールを利用するとよい。
  • ECモールによって得られる顧客の声は貴重な情報源。クレームも尊い。そこから学び、商品の見せ方や文章表現などを修正していけば良い。

企業情報

会社所在地:東京都墨田区堤通1-17-30
電話:03-3611-2959
従業員:3人
創業:1966年
資本金:300万円
web:http://www.negishi-joro.co.jp
2021年2月時点