東商けいきょう

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東商けいきょう 2023年7~9月期 結果(中小企業の景況感に関する調査)

2023年9月13日
東京商工会議所
中小企業部

 東京商工会議所(小林健 会頭)は、東商けいきょう(東京23区内の中小企業の景況感に関する調査)2023年7~9月期の集計結果をとりまとめましたので、お知らせします。

【調査要領】
▽期間:2023年8月14日(月)~8月24日(木)
▽対象:東京23区内の中小企業2,847社(回答数:1,079社(回答率37.9%))
▽項目:業況、売上、採算(経常利益)、資金繰り、民間金融機関の貸出姿勢
▽方法:WEBおよび経営指導員による聴き取り
▽従業員規模構成:5人以下:421社(39.0 %)、6~20人以下:286社(26.5%)、21~100人以下:249社(23.1%)、101人以上:123社(11.4%)

【 ~都内中小企業の景況感は、個人消費が落ち込んだ小売業を中心に3業種で悪化          賃上げ実施企業は約6割で、ベースアップ実施企業が大幅増~】

~東商けいきょうの主なポイント~

都内中小企業の今期の景況感は、経済回復に一服感
業況が大幅に改善した前期から一転し悪化

◇業況DIは前期比2.8ポイント悪化の4.9となった。コロナ禍からの経済回復に一服感があり、業況が大幅に改善した前回から一転、悪化に転じた。
◇業種別では、小売業が7.4ポイント悪化の7.7、サービス業は4.9ポイント悪化の9.6、製造業が3.1ポイント悪化の0.0となるなど、3業種でDI値が悪化した。小売業では、外国人観光客は増加しているものの、猛暑による来店客数の減少や物価の高騰で個人消費が落ち込んでおり、売上が減少しているとの声が寄せられた。
◇来期(10-12月期)の見通しはほぼ横ばいの4.7を見込む。最低賃金や人手不足に対応するためのコスト負担増を懸念する声が聞かれた。

<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○資材価格の高騰はあるが、公共工事では物価高騰分を織り込んだ価格で入札できたため、業績にマイナス面の影響は出ていない。加えて、コロナの時に行った業務効率化やIT化が今になって効果を発揮し、業績は好転している(建設業:電気工事)
○新聞購読は微減傾向だが、新たに始めた求人サイトサービスへの求人広告出稿が徐々に出てきているため、全体としては大きな変化はない。今後、求人広告が増加すれば好転する(サービス業:専門新聞、求人サイト運営)
○需要は少し上向いたが、社員の要求で実施した賃上げが経営の負担となり収益は改善していない。加えて、優秀な人材の流出も増えており、中途社員を採用しても1年以内で大手へ転職してしまい、なかなか業績の安定化にもつながらない(サービス業:情報処理開発)


■■■付帯調査 「賃金の動向について」■■■

◇2023年度の正社員の賃金は、「賃上げを実施」が前回調査比9.3ポイント増加の58.3%となり、全業種で増加した。一方、賃上げ実施企業の業績動向をみると、半数以上が、業績の改善がみられない中での賃上げとなった(「業績は改善している」43.9%、「業績は横ばい」45.3%、「業績は悪化している」10.8%)。
◇賃上げを実施した企業における賃上げの内容については、「ベースアップの実施」が9.1ポイント増加の48.2%となった。また、賃上げを実施した企業における給与総額の引き上げ率については、5%以上の企業が24.2%と最も多く、3%以上の引き上げを行う企業は合計で60.3%となった。
◇賃上げを行う理由は、「社員のモチベーション維持・向上」が最も多く86.1%となった。次いで、「物価が上昇しているため」が21.4ポイント増加の64.5%、「人材の流出を防ぐため」が54.4%、「採用を強化するため」が30.0%となった。
◇賃上げを見送る(前年同水準・引き下げ)もしくは未定とする理由は、「今後の外部環境・経済状況が不透明」が54.4%、次いで、「現在業績が良くない・今後の見通しが不透明」49.8%で、いずれも約8ポイント減少する結果となった。「十分に価格転嫁ができなかった」と回答した企業は15.1%であった。

<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○価格転嫁が進んでいないが、社員の離職を防ぐため大幅な昇給を行った(製造業:金属部品製造)
○設備投資を実施したいが、賃上げを優先して実施した(製造業:紙製品製造)
○世間の賃上げムードが高まっているため、賃上げを実施した(サービス業:通信エンジニアリング)

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
中小企業部
TEL 03-3283-7643