東商けいきょう

東商けいきょう イメージ画像

東商けいきょう 2023年10~12月期 結果(中小企業の景況感に関する調査)

2023年12月8日
東京商工会議所
中小企業部

 東京商工会議所(小林健 会頭)は、東商けいきょう(東京23区内の中小企業の景況感に関する調査)2023年10~12月期の集計結果をとりまとめましたので、お知らせします。

【調査要領】
▽期間:2023年10月31日(火)~11月9日(木)
▽対象:東京23区内の中小企業2,835社(回答数:1,030社(回答率36.3%))
▽項目:業況、売上、採算(経常利益)、資金繰り、民間金融機関の貸出姿勢
▽方法:WEBおよび経営指導員による聴き取り
▽従業員規模構成:5人以下:412社(40.0 %)、6~20人以下:259社(25.1%)、
         21~100人以下:243社(23.6%)、101人以上:116社(11.3%)

【 都内中小企業の景況感は、人手不足や賃上げが重荷になるも、インバウンド・観光等が好調でほぼ横ばい。来期は個人消費の拡大が見込めず、3.8ポイント悪化の見通し。脱炭素への対応でエネルギーコストの上昇を危惧する企業は増加傾向】

~東商けいきょうの主なポイント~

都内中小企業の今期の景況感は4業種が悪化

◇業況DIは前期比0.6ポイント悪化の4.3となった。人手不足や賃上げが重荷となり二期連続で悪化となったものの、前期からマイナス幅は縮小し、ほぼ横ばいの結果となった。
◇業種別では、小売業が8.6ポイント悪化の▲1.0、卸売業は3.9ポイント悪化の▲6.3、建設業は2.1ポイント悪化の5.2、製造業は0.8ポイント悪化の▲0.8となるなど、4業種でDI値が悪化した。小売業では、物価上昇に伴う買い控えの影響で売上が減少し、業況が悪化しているとの声が聞かれた。一方、サービス業では、インバウンド・観光関連や各種イベント関連が好調で受注増につながっているとの声が聞かれた。
◇来期(1-3月期)の見通しは3.8ポイント悪化の0.5を見込む。個人消費の拡大が見込めない中、人件費の高騰等が続き、先行きが見通せないとの声が聞かれた。

<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○資材価格の高騰はあるが、公共工事では物価高騰分を織り込んだ価格で入札できたため、業績にマイナス面の影響は出ていない。加えて、○中国・韓国などアジアの半導体製造装置業界の動きが停滞し、メイン先からの受注が9割減を見込んでいることから非常に厳しい状況である(製造業:精密板金加工)
○仕入れ価格高騰に伴う価格転嫁は実行できているが、顧客が実際に購入する品目は低価格商品に移行しつつあり、売上の増加にはつながっていない(小売業:酒類販売)
○外食機会の増大やインバウンド需要により売上アップと利益の向上につながっている。一方、人手不足は深刻で時給を上げても求人募集の反応が芳しくない(サービス業:飲食店)
○売上はコロナ禍と比べて大幅に改善するが、来年からゼロゼロ融資の返済が始まるため、資金繰りに不安がぬぐえず、銀行とも何度か返済計画について打ち合わせをしている(小売業:かつら・かんざし販売)


■■■付帯調査 「脱炭素・カーボンニュートラルへ向けた取り組みについて」■■■

◇脱炭素に対する考え・対応について、「エネルギーコストの上昇を危惧」が前回調査(2021年度)比6.1ポイント増加の48.6%と最も高く、次いで「現時点では見当がつかない」は33.3%となった。今回新たに追加した「コスト削減・経営改善につなげたい」は24.4%、「企業の社会的責任や自社イメージ向上等の観点で重要」は22.0%だった。
◇CO₂等の温室効果ガス排出削減に向けた取り組みについては、「取り組みは行っていない」が60.1%と最も高く、次いで「取り組みを進めている・進めたい」は20.1%、「情報収集」は18.3%だった。
◇CO₂等の温室効果ガス排出削減に向けた取り組みを行っている企業に課題を聞くと、「業務負担の増加」が35.8%と最も高く、次いで、「コストに見合う効果が見込めない」が30.9%、「人材やノウハウの不足」は29.0%だった。
◇取り組みを行っていない企業に理由を聞くと、「何から取り組めば良いか分からない」が28.9%と最も高く、次いで「業務負担の増加」が22.6%、「人材やノウハウの不足」は20.7%だった。

<中小企業の“生の声”>(抜粋)
○CO₂排出削減に向けてエコドライブ等の指導を継続している。また、元々外注していたマフラー洗浄を自社で取り組むことで洗浄頻度を高め、車両の環境性能を維持できている。これらの取り組みによって、都や団体の認定取得や環境に関する賞をいただいている(サービス業:運輸)
○業界に先駆けて10年前から、カーボン・オフセット印刷やカーボンフットプリントに取り組んでいる。最近になってやっと顧客の理解が得られるようになってきたが、まだ売上増加にはつながっていない(製造業:商業印刷)

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
中小企業部
TEL 03-3283-7643