東商の活動

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工業部会講演会「新時代の技術経営戦略~ビジネスエコシステムを見据えた取り組み~」を開催しました

2016年10月19日
東京商工会議所
中小企業部
講師の元橋氏

講師の元橋氏

講演の様子

講演の様子

 東京商工会議所工業部会(部会長=平井克彦 東商特別顧問・東レ相談役)は10月19日(水)、東京大学大学院工学系研究科教授の元橋一之氏を講師に招き、「新時代の技術経営戦略~ビジネスエコシステムを見据えた取り組み~」と題した講演会を開催し、59人が参加しました。

 元橋氏は、日本の産業競争力について、1993年まで世界トップであったが、最近では25位程度まで低下していることを紹介。その理由として、2000年頃までは製品の質や自動化技術などが重要視されていたが、近年ではグローバル化対応や経済社会の改革などの比重が高まっていることを挙げました。その一方で、研究開発や特許などの科学技術の項目は長年世界2位を維持しているとして、「日本の技術力は世界トップクラスの競争力を有している」と述べました。

 また、工業経済だった18世紀から20世紀までは、資本設備や優れた技術を持つことが、経済成長の源泉となっていたが、21世紀に入り、「先進国が高品質な製品をつくっても、新興国で工業化が進むと、同様の製品が生産でき、コスト競争で負ける」と指摘。そのため、先進国は高度な知識を持つ人材や、ITインフラ、オープンイノベーションを活用した「サイエンス経済」に移行しているとし、「モノの提供だけでなく、顧客にとっての価値を科学的に分析しながら、先進技術による差別化を図り、『モノづくり』から『コトづくり』に移行することが重要だ」と強調しました。

 さらに、「現代では顧客ニーズが多様で、業種・業界の垣根を越えて企業が共存共栄する『ビジネスエコシステム(産業生態系)』がポイントだ」と説明。ビジネスエコシステムは、プラットフォームや共通の経営資源を提供し、業界の中心的な役割を担う企業と、それらと独自技術を用いて連携する企業によって成り立つとし、「自社の立ち位置を明確にする『イノベーション戦略』が重要だ」と述べました。

 参加者からは「自社の課題をイメージとして掴むことができた」「事業展開のあり方が理解できた」といった声が寄せられました。

 今後も工業部会では部会員の皆様のビジネスに役立つ情報提供をしていきます。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
中小企業部
担当 石村・西塔・西林・大山
TEL 03-3283-7754