政策提言・要望

「知的財産政策に関する意見」について

平成29年3月16日
東京商工会議所
産業政策第一部

 東京商工会議所(三村明夫会頭)は、3月7日開催の第202回議員総会・第693回常議員会(日本商工会議所(三村明夫会頭)は3月16日開催の第664回常議員会・第261回議員総会で決議)にて、知的財産戦略委員会(委員長:荒井寿光・東京中小企業投資育成相談役)がとりまとめた標記意見を決議しました。
 本意見は、知的財産政策について、目指すべき方向性と望まれる施策をまとめたものです。今後、関係省庁に対し要望事項の実現を働きかけていきます。

主な内容

○基本的な考え方

①2003年の知的財産戦略本部の設置以来、知財への関心は高まったが、近年、知財への取り組みは勢いを欠い
ている。
②国際競争に勝つには、イノベーションを収益力に繋げる知財戦略が不可欠。各地域で知財の創造・保護・活用に
関する戦略を策定し、リーダーを定めて取り組むことが重要。
③地方創生の実現には、各地域で資源や強みを徹底的に掘り起し、ブランドやコンテンツ等の知財の活用により、
国内外の市場を獲得できるよう官民をあげた取り組みが必要。
④中小企業の知財に対する意識を一段と高められるよう、中小企業の多様な実態を的確に捉え、きめ細かく支援す
ることが効果的。


○主な要望事項
Ⅰ. 知財活用が地方創生実現のカギ
 1.都道府県は知財の創造・保護・活用に関する戦略の策定・見直しを
  ①都道府県は、地域経済の担い手と連携し、地域における知財の戦略の策定・見直しを行うこと。
また、国はその策定・見直しの促進と積極的な支援を行うこと

 2.知財による連携を進め、地域の活性化を
  ①各地域において産学連携推進の起爆剤とするべく、大学や研究機関が保有する特許を中小企業が事業化
評価をする間、中小企業に無償で開放すること

 3.地域資源の権利化・ブランド化の促進を
  ①地域団体商標制度の利用実績と経済効果を調査分析するとともに、その成功事例の横展開を強力に行うこと
  ②都道府県は、地理的表示保護制度や地域団体商標を活用し、農林水産品・加工品の販売支援(マーケティン
グ、販路開拓等)や模倣品の侵害対策に取り組むこと

4.地域の主体的な知財活用に向けた人材育成支援を
  ①地域の知財を活用し、国内外において地域産品の価値を高められるよう、総合的な知財マネジメント構築を
支援できる人材の育成、能力開発を強化すること


Ⅱ. 中小企業による知財活用の最大限の促進を
 1.中小企業の知財権の積極的な取得に向けた環境の整備
  (1)知財権の取得・維持費用を下げる
    ①中小企業等が、一律に費用減免措置を受けられるよう、料金減免体系を見直すこと 

  (2)権利化などの申請手続きを簡素化し、分り易く
    ①知財権の申請書類を簡素化し、手続き負担を軽減すること 

2.知財を中小企業の経営戦略に不可欠なものに
 (1)知財を戦略的に経営に活かそうとする中小企業への支援
    ①知財戦略を重視した経営計画を作成し、地域知財戦略本部等に認定された場合、研究開発や設備投資へ
の助成、税制優遇措置、低利融資等の支援制度を創設すること

 (2)中小企業の知財活用意識の醸成と支援人材の育成
 
 (3)知財の価値や事業性評価を見える化(数値化)し、知財金融の促進へ
    ①中国の知財金融を研究するとともに、知財の事業性評価を活用した融資制度の普及を大幅に拡大すること

 (4)知財侵害への断固たる措置を
    ①不当な技術の吸い上げを行う企業に対しては、企業名を公表するなど、独占禁止法(優越的地位の濫用)
のガイドラインを拡充し、断固たる措置を講じること


Ⅲ.わが国の産業競争力を強化する知財システムを
 1.知財の創造・活用を促進する、納得感の高い紛争処理システムを
  ①裁判で特許等の有効性が否定されることがないよう特許権の安定性を高める確実な審査を行うこと
  ②中小企業が知財侵害に対抗して訴訟を起こすのは、自社のビジネスへの影響が看過できない程
   大きい場合である。中小企業が訴訟提起を容易にできるよう支援策の充実・強化を図ること

 2.日本の優れた知財システムを世界へ

 3.国際標準・認証による競争力強化
  ①各国間における規格・基準など規制の統一や調和・相互承認を強力に推進すること


Ⅳ.コンテンツを活用した旺盛な海外需要の取り込みを
 1.コンテンツ輸出による日本の魅力の効果的な発信
  ①コンテンツ輸出を国家プロジェクトと位置づけ、明確な目標を設定し取り組むこと
  ②重点国において、国の主導による日本のコンテンツ専門放送局など情報発信拠点の設置やクール
   ジャパン、ビジットジャパンの連携を推進すること

 2.模倣品・海賊版の徹底的な対策を粘り強く

 3.良質なコンテンツを創造するための制度整備と人材育成
  ①著作物の利用円滑化のため、著作権者不明の裁定制度の改善や、権利情報を集約したデータベース等に
   よるライセンシングの環境整備等に向けて取り組むこと

以上

【本件担当・問い合わせ先】
東京商工会議所
産業政策第一部
担当 富澤
TEL 03-3283-7630