会頭コメント

会頭コメント

政府の「生活対策」について

2008年10月30日
東京商工会議所

政府が、先の総合経済対策を上回る規模の追加的な経済対策を打ち出したことを歓迎する。金融不安が実体経済に波及するのを回避するとともに、内需拡大に資する景気刺激策が盛り込まれるなど、中小企業と地域経済に配慮がみられることは、商工会議所の要望が取り入れられたものと評価したい。また、定額給付や住宅ローン減税など生活者への配慮も時宜を得たものと言える。
 いまは緊急事態であるから、これらの対策に必要な法案を早急に成立させ、スピード感をもって実行してもらいたい。特に年末に向けて中小企業の資金が逼迫しているところから、中小企業の資金繰りの円滑化については、年内にも実行できる体制を整えることが不可欠である。
  また、これまで輸出に依存してきた日本経済の成長力を強化し、内需拡大を図るためにも、省エネ設備などの大幅な投資減税が盛り込まれたのは妥当な措置である。
  いずれにしても、本格的な内需振興には、将来に対する国民の不安を払拭する必要があり、年金、医療、介護を通じた持続可能な社会保障制度の確立など、今回の対策とは別に中期的課題にしっかりと取り組むことが重要である。
  一方、来月半ばには金融サミットが開催される。もとより株式・為替市場の安定に向けた各国の実効性ある政策協調がきわめて重要であり、今回のような事態を引き起こさないようにするための何らかの国際的な監視体制の整備や、各国がとるべき景気対策についても、踏み込んだ議論が行われることを希望したい。

以上