東商の活動

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資源・エネルギー部会講演会「福島復興再生に向けた現状と今後の課題」(講師:開沼博氏)を開催しました

2016年10月12日
東京商工会議所
産業政策第二部
講師の開沼氏

講師の開沼氏

 資源・エネルギー部会(部会長=井手明彦特別顧問・三菱マテリアル相談役)は12日、立命館大学衣笠総合研究機構准教授の開沼博氏を講師に招き、講演会「福島復興再生に向けた現状と今後の課題」を開催、33人が参加しました。

 開沼氏は冒頭、人口減少や震災による農林水産業への影響といった福島をめぐる様々な課題について、「事実に基づく認識が十分でない。現在の福島に関する一般的な認識はデータに基づく事実とずれている」と指摘。開沼氏は具体的事例として、実際は県外避難者の割合は2.1%にとどまるにも関わらず、14年3月の意識調査で回答者の8割が25%と答えたことを挙げ、「原発事故の影響で、大量の人口が流出しているとのイメージが先行し、多くの人には98%の人が震災後も福島で暮らしていることが見えていないのではないか」との見方を示しました。

 さらに、報道などで「福島の人口減少が続いている」とされているものの、「実際の人口減少率は震災前の水準に戻りつつあり、長期の人口増減は全国と同程度だ」と述べ、「福島の課題の大部分は、日本の地方都市に共通する普遍的な問題と共通。それが福島では東日本大震災や原発事故でよりクローズアップされた」との認識を示しました。

 最後に、開沼氏は福島をめぐる問題について、放射線の危険性の有無や原発の必要性など政治の世界でよく見られる対立構造が持ち込まれるとともに、一般には理解しづらい専門用語で語られることから、「語りにくさ」の壁があり、これらの問題に正面から取り組むハードルが年々上がっていると指摘。その上で、「“復興が遅れている”といった漠然とした課題認識を改め、福島の現状を正確に理解し、課題解決に向けた学び合いの場を設計していくことが重要だ」と述べ、まずは様々なリソースから事実を示すデータを学び、福島の問題を考えるための基礎を作り上げ、それを基に解決策を考えるというアプローチの重要性を説きました。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
産業政策第二部
担当 エネルギー・環境担当
TEL 03-3283-7836