会頭コメント

会頭コメント

経済新生対策について

1999年11月11日
東京商工会議所

1.政府が18兆円規模の思いきった「経済新生対策」を打ち出したことを歓迎する。今国会を総理自ら「中小企業国会」と命名し、中小企業を日本経済の牽引車と位置付け、精一杯の対策を盛り込んだ政府の姿勢を高く評価したい。一日も早く第2次補正予算を成立させ、対策を実効あるものにしてもらいたい。
 日本経済を再生から新生へと導くには、中小企業の持つ多様な可能性と創造性に負うところが極めて大きいのは誰しも否定できない。これまでの弱者救済、格差是正から、中小企業の自立意欲を喚起して、自助努力を促す方向に政策理念を転換するのは、構造改革を成し遂げるために当然の流れである。
 ただ、中小企業が真に経済をリードする力を身につけるためには、税制面を含め、中長期的視点に立った環境整備が不可欠である。信号が青になっても、障害物があれば前に進めない。特に、ベンチャー・創業支援など、政府の数値目標を達成するためには、立ち上がりを後押しするだけでなく、経営革新を抑制するものを除去し、一定期間の支援を継続することが必要だ。商工会議所としても、中小企業の持つ潜在力を最大限に引き出せるよう努力していきたい。

2.中小企業金融安定化特別保証制度が来年度も継続され、枠が10兆円拡大されたことは、中小企業に与える心理的効果も大きく、朗報だ。延命を助けて改革を遅らせるという批判が一部にあることも承知しているが、深刻な貸し渋りの中で倒産を未然に防ぎ、雇用を維持するのに果たした効果は認められるべきである。資金面の逼迫が理由で、つぶれないで済むべき企業を存続させるのは政府の重要な役割である。

3.なお、税制改革については、税制調査会の答申を待って次期国会での審議になるが、税制のあり方は中小企業支援に重要な役割を果たすので、中小企業の事業承継を円滑に行うための税制の確立など、今国会でも積極的な議論が展開されることを期待する。

以上