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企業向け新型コロナウイルス対策情報  第37回 2021年に実施する健康診断の準備

2020年12月28日
東京商工会議所

東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、
産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)
しております。

本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生
(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。
詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。

経営者・総務人事担当者のみなさま、そろそろ2021年に実施する健康診断(健診)
の準備を始める時期です。もしもの場合を含めた留意点を確認しましょう。

1.課題の背景:

本情報配信の第7回「健康診断の延期にまつわる考え方」では、2020年4月時点の情報をもとに、
厚生労働省から発信されていた情報、またさまざまな制約のもとで健診を行う場合の優先順位や会場での
留意点について解説しました。その後、5月に、日本全国の健診実施施設が加入する8つの団体が
合同マニュアル「健康診断実施時における新型コロナウイルス感染症対策について」を公表し、
新たな形での健診が定着しつつあります。そこで今回は、合同マニュアルの内容を踏まえて、
2021年に実施する健診を準備する際の留意点を解説します。


2.企業でできる対策:

〇施設健診の場合、各施設の対策を確認し、実施時期をできるだけ分散させる。
〇巡回型健診の場合、会場における時間と空間の「密」を避ける。
〇予定どおり実施できなくなった場合に何をするか決めておく。

2-1.施設健診

<健診施設に確認しておきたい8つのポイント>
□受診者の体調確認をどのように行っているか?
□受診者間、受診者と職員の距離の確保をどのように行っているか?
□室内の換気をどのように行っているか?
□受診者の「密集」を避けるため、1日の予約者数、予約時間等をどのように調整しているか?
□受診者を含む複数の人の手が触れる場所の消毒を行っているか?
□健診施設職員の体調確認をどのように行っているか?
□健診施設職員に新型コロナウイルス感染症の陽性者が生じた場合、どのように対応するか?
□受診者に新型コロナウイルス感染症を疑う検査結果が判明した場合、どのように対応するか?

本稿では、各従業員が施設を訪問して健診を受ける形態を「施設健診」と呼びます。
施設健診の場合、会場における感染防止策は施設側に委ねられます。
合同マニュアルは「基本姿勢」「健診施設の受診環境の確保」
「健診施設職員が感染源とならないための配慮」「緊急時の対応」
「健康診断項目ごとの留意事項」から構成され、事実上の全国標準ですが、
個別具体的な対策は健診施設によって違いがあっても不思議ではありません。
合同マニュアルの内容から主なポイントを8つ抜粋しましたので(上記)、実際に健診を
委託する施設がどのような対策をとっているか、一度は尋ねてみることをお勧めします。
担当者が医学・医療に関する専門家でなくても、企業側が感染拡大防止を意識していることは健診施設に
伝わります。

2-2.巡回型健診

□できるだけ広くて換気のしやすい会場を確保し、定員を設定する。
□体調不良などで予定日に受けられなかった人への代替案を準備しておく。

本稿では、健診施設のスタッフがバス等で事業場を訪問して健診を実施する形態を「巡回型健診」と呼びます。
巡回型健診における留意点として真っ先に挙げられるのは会場の確保です。
各検査ブースだけでなく検査待ちの場所を含めて人と人との距離を確保できるか、マスク着用や仕切りの設置で
そこにいる人からの飛沫拡散を抑えられるか、外気を取り入れて換気できるかを検討し、レイアウトを決定します。
また、一度に会場に入れる人数、それを上回った場合の待機場所も決めておきます。
発熱や咳などの体調不良がある従業員は、健診の受診以前に出勤そのものを控えてもらいたいところです。
ただし、巡回型健診の日程はどうしても限られるため、もし従業員にとって健診が「外せない用事」
と思われてしまうと、無理に出勤するきっかけになってしまうおそれが想定されます。
例えば「巡回型健診を受けられなかった人は後日の施設健診を案内する」などの代替案を準備した上で、
体調不良時には出勤しないよう再周知しましょう。

2-3.予定どおり実施できなくなった場合への備え

□有害業務に従事する者の健康診断を優先する。
□入手できる情報をもとに、就業上の措置の確認・見直しを行う。

数か月前から健診の準備をしても、実施が近づいた時期にその地域で感染が急激に拡大してしまった場合など、
予定どおり実施できない事態も起こりえます。
労働安全衛生法第66条の5では、事業者に対して、労働者の健診結果と実情を踏まえた就業上の措置を
義務づけています。ここでいう「就業上の措置」とは、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮のように
個人を直接対象とするものだけでなく、作業環境測定の実施、施設の整備のように職場環境を対象とするものの
両方が含まれます。

すなわち、労働安全衛生法に基づく健診は、働く人の健康と安全を守るための適切な配慮を主な目的として
義務づけられています。もし健診を実施できる日数および人数が予定よりも減ってしまった場合は、
2020年6月頃まで各種の健診が延期されていたときの考え方を準用して、一定の有害業務に従事する労働者を
対象とする特殊健診(有機溶剤、特定化学物質など)やじん肺健診(じん肺法)を優先して実施します。
さらに、前回までの健診結果あるいは傷病休職などの事情により、就業制限等(例:残業や深夜勤務の制限、
車両・クレーン運転作業の制限)の対象となっている従業員については、健診が予定どおり実施できなくても、
入手できる範囲の情報から措置内容の確認・見直しをしておきましょう。

【文責】田原 裕之(産業医科大学 産業精神保健学)

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
 厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・
 和田耕治先生 (国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。

OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。
本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。

また、動画配信も行っております。参考情報リンク参照。

※本情報配信に関するご意見・ご要望は、こちらまでお寄せください。
 covid-19@ohsupports.com

※これまでに配信しましたバックナンバーは、参考情報リンク参照。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

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ビジネス交流部 会員交流センター