採用氷河期の人材獲得戦略

第3回 攻めて採りに行く、効果的なダイレクト採用

2017年7月11日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2017年1月20日号

成長・充実を目指す企業にとって、必要な人材の確保が経営のボトルネックとなりつつあります。これは単なる好景気での人手不足ではなく、構造的な人材難時代、「採用氷河期」を迎えたことが原因です。企業がそれをどう乗り切っていくか、その方法について解説します。

ダイレクト採用のポイント


 前回は採用活動の2パターンとして、セレクション方式とダイレクト方式があると書いたが、今回は攻めの採用であるダイレクト採用(ダイレクトリクルーティング)について解説したい。

 セレクション採用とダイレクト採用の違いは、いわば投網漁と一本釣りの違いである。投網をかけるように人を集めて選んでいく前者に対して、後者は一人一人接触して採用に結び付けていく方法である。しかし考えてみれば集めて選んでいっても、最後は1対1の採用活動だ。内定を出した後などは他社との綱引きになり、要は目の前の1人を入社させることができるかどうかの戦いになる。採用担当者やリクルーターの力量が問われることになるので、ダイレクト採用とは会社力+人間力の採用と言える。
 採用活動では、就職情報ナビなどのメディアや人材紹介会社のエージェントなど、企業と求職者を結びつける仲介役が橋渡しするのが通常だが、ダイレクト採用ではそうした段階を飛ばして直接接触することが多い。その意味では縁故採用に似ている部分があり、コネクション採用やつながり採用とも呼ばれる。海外では、むしろこうしたやり方が主流とも言われている。


出会い方とコミュニケーションの取り方


 ダイレクト採用では直接接触することが大事で、その方法は何でも良いのだが、近年特に使われているのがデータベースとソーシャルネットの活用だ。どちらも個別対応なので労力はかかるが、やりようによって採用コストは抑えることができる。潜在的な自社への転職可能層を、掘り起こすことができるのが最大の利点である。
 データベース活用は民間企業などが提供しているデータベースに、直接オファーのメールなどを送り接触する方法である。豊富なデータベースから求める人材を直接探して接触できることが利点であり、知名度がない会社でもオファーメールの内容により求職者の興味を惹きつけ、応募につなげることが可能となる。
 ソーシャルネット活用は、フェイスブック等のSNS上にページを立ち上げたり、関係者からの発信を行うなどし、求職者と接触する方法である。低コストで、若年層の利用が多いのが特徴で、タイムリーにきめ細かく情報を発信できることも利点だ。ネット上の求職者の情報は限られており、求める人材かどうかは接触してから見極めていく必要がある。


 

 

目の前の人材を口説くために


 重要なのは出会った後で、採用側のコミュニケーション力が問われる。相手との親密度を深め、自社の魅力を理解させて、志望企業にして最後は入社を決断させなければならない。ポイントになるのは採用担当者の「口説く力」だ。必要なのは、相手を知る、自分を知らせる、仲良くなる、信頼される、という関係構築力と、断る理由をつぶしていく説得力となる。
 整理しておくべき情報は多い。会社(理念と事業、仕事と組織、将来性と課題など)、業界(社会性、発展性、勢力図など)、相手(志向、キャリア観、影響者など)、自分(職業観、会社への思い、魅力など)、採用(自社の採用、他社の採用など)に関することなどはしっかり語れるようにしておこう。単に話すだけではなく、熱意を持って説明すること。コミュニケーション力は人生を充実させる重要なスキルなので、この機会にぜひ鍛えておきたい。



執筆者:原 正紀(はら・まさのり)
クオリティ・オブ・ライフ代表、留学生支援ネットワーク理事、高知大学客員教授、成城大学講師。執筆、講演、公的機関委員会委員等実績多数。産学官にて人的課題を解決。

掲載:東商新聞 2017年1月20日号

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