覚えずに覚える記憶術

第4回 脳を活性化するには「運動」が一番

2017年6月6日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年12月10日号

 書店に行くと脳トレ本、脳活本が、たくさん並んでいます。脳を活性化させたい。あるいは、脳の老化を防いで、いつまでも脳をいきいきとした状態に保ちたい、という人は非常に多いようです。
 脳を活性化する方法。最も効果的な方法で、科学的な根拠もある方法を一つ挙げろと言われたら、それは間違いなく「運動」です。運動が健康に良いことはご存知の方も多いでしょうが、運動が脳を活性化し、老化防止や認知症予防にも効果があることは、あまり知られていません。

■週2回の運動で認知症リスクが半分になる


 ある研究によると、週に2回以上有酸素運動をする人は、そうでない人と比べて認知症の発症率が50%以上低いという結果が出ています。
 有酸素運動とは、ウォーキング、ジョギング、水泳、自転車こぎ、エアロビクスなどいろいろです。筋トレや短距離走など、息を止めて行う運動以外は、全て有酸素運動です。


■運動すると頭が良くなる


 有酸素運動は、認知症を予防するだけではなく、脳を活性化し、記憶力や学習能力を高めます。また、子供の場合は、「運動する子供の方が、運動しない子供よりも、学校の成績が良い」という研究結果がたくさんあります。一言で言えば、運動すると頭が良くなるのです。
 運動によって、脳内でBDNF(脳由来神経栄養因子)という物質が分泌されます。この物質は、神経細胞の機能をアップさせ、神経細胞の成長、維持、再生に欠かせない物質です。そんな神経を成長させる物質が、運動するだけで分泌されるのです。


■複雑運動は脳トレ効果が高い


 運動をする場合、同じ「走る」でもより複雑な動きの方が、脳を活性化します。つまり、ランニングマシーンでただ走るだけの単調な運動よりも、屋外を走った方が良く、毎日、同じコースを走るよりも、毎回、異なるコースを走った方がいいのです。野山を走るクロスカントリー、道なき道を走るトレイルランなどが、最も脳を活性化する運動といわれます。
 あるいは同じ運動の繰り返しではなく、エアロビクスや格闘技のように、次々とパターンが変化する、臨機応変な動きを必要とするスポーツも脳トレ効果が抜群です。
 あなたは、週2回以上運動していますか? もししていないとするならば、健康のために、そして脳を活性化させるためにも、是非、運動の時間を作ってほしいと思います。


執筆者:精神科医、作家 樺沢紫苑

掲載:東商新聞 2016年12月10日号

以上