外国人観光客を呼び込むマーケティング

第6回 商品をもっと売るための工夫

2016年7月26日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年2月20日号

 外国人観光客と切っても切り離せないのが、ショッピングです。特に買い物欲が旺盛な中国人観光客が増え続けているので、注目度は上がる一方です。
 いわゆる土産物はもちろんのこと、日用品、飲食物、電化製品に至るまで、多種多彩な商品にチャンスがあり、また実際に売れています。
 2014年10月に免税制度が変わり、免税対象品目が大幅に拡大されたことも、外国人観光客のショッピング熱を上げている一因です。その一方で、外国人観光客に売りたいと考えるお店が増えていることも事実です。実際、図にあるように、免税店は急増しています。その中で売り伸ばすためには、工夫をしていかないといけないでしょう。

① ニーズに合うラインナップを

 ある日本酒の醸造元で、外国人観光客の来客が増えていると聞き、視察したことがありました。そこでは試飲だけでなく、実際に販売もしていました。そのときに「もったいない」と強く感じたのが、価格の幅が少ないことです。低価格・中価格・高価格の三段階でしたが、この醸造元には、超高価格のものを求める傾向を持つ中国人観光客も数多く訪れるとのこと。それならば、高品質かつ、豪華な箱やラベルを使った超高価格の商品を用意すべきでしょう。

②使用感を味わってもらう

 実際にその商品を試してもらうことも重要でしょう。所有欲を駆り立てることで売り伸ばすというのは、マーケティングの常套手段ですが、こと外国人観光客に限って言えば、その効果は絶大です。
 化粧品でも食べ物でも、日本人には当たり前の商品でも、外国人にとっては未知のものであることが往々にしてあります。試さないまま購入し、帰国したら思っていた商品と違ったということがあると、悪評につながります。日本人であれば、商品の取り替えなどで対応できますが、外国人が自国へ帰ってしまった後では、対処しようがありません。ぜひ使い方や用途、味がわかりづらいものほど、試してもらうようにしましょう。

③連絡手段と時間を用意する

 これは特に中国人観光客に特化した施策ですが、Wi-Fiなどで彼らが母国にいる友人や親戚と気軽に連絡を取れるようにします。そうすると、微信(中国版LINE)などで、「これ欲しい?」と聞くことができ、売上アップにつながるのです。例えば、階段の踊場に簡素なベンチを置くなど、通信しやすい環境を用意するのも一つの手だと思います。


   

   

連載の最後に


 これまで、飲食店、宿泊施設、体験、そしてショッピングと業種別で説明してきましたが、どの施策も横断的に応用して使えるものばかりです。たとえば、第4回でお話した「横のつながりを大切にしている」というのは、あらゆる事業者が考慮すべき点だと思います。ぜひ、うちでも応用できないかと考えてみてください。
 また、最後にお伝えしたいことがあります。それは我々全員が「日本のファンを増やす」という任務を担っているということ。日本が真の観光立国になるためにも、必ずこの意識をもって取り組んでいただけたら嬉しいです。



執筆者
村山 慶輔
やまとごころ社長。インバウンド戦略アドバイザー。ホテル・小売・飲食・自治体向けにインバウンド情報の発信、教育・コンサルティングサービス等を提供。著書に「訪日外国人観光ビジネス 入門講座 沸騰するインバウンド市場攻略ガイド」(翔泳社)

掲載:東商新聞 2016年2月20日号

以上