外国人観光客を呼び込むマーケティング

第5回 “体験”が訪日旅行の満足度を左右する

2016年7月19日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年2月10日号

日本を訪れる外国人観光客が増える中、リピート客にどう満足してもらうかは、今後の日本のインバウンド業界を左右するとても大きな課題です。そこでキーとなるのが、「体験」です。リピート回数が増えるほど、ショッピングや日本食といった定番の行動から、より具体的な体験を求める傾向にあるからです。では、どんな体験であれば、外国人観光客の感動を呼ぶことができるでしょうか。今回はその条件を3つご紹介しましょう。 

ここでしか味わえないもの


なんといっても、「ここでしか味わえないもの」でなければ、感動を呼ぶことはできません。今はインターネットによってクチコミが一気に広まる時代ですので、「ここにしかないもの」は一気に話題になる一方で、「似たようなものがある」場合には、その情報も一気に世界中で共有されてしまいかねません。
 好例として挙げられるのが、新宿歌舞伎町にあるロボットレストランでしょう。巨大ロボットを駆使した唯一無二のダンスショーを提供する同店は、世界中から集客することに成功しています。
 「ここでしか味わえないもの」は、日本人の頭だけでは思いつかないかもしれません。ぜひ外国人の目線で、自分たちの魅力を掘り起こしてみてください。

受け入れ体制を整える


外国人観光客に人気のある体験に、岐阜県飛騨市の「飛騨里山サイクリング」があります。多くのメディアで取り挙げられているのでご存知の方も多いでしょう。人気の理由は、日本人の目には当たり前に映りがちな“ありのままの田園風景”を体験できることです。そのため見落としがちなのですが、同サービスを提供する会社(美ら地球)は、事前に地元住民の理解・協力を得ています。つまり、きちんと受け入れ体制を整えているからこそ、高い満足度が得られているのです。
 サービスを取り繕って集客をしても、受け入れ体制が整っていなければ、大きな感動は生まれません。それどころか、参加者の不平不満や、地元住民からのクレームにもつながりかねません。ぜひ集客する前に、受け入れ体制を整えることを忘れないでください。

形として残るものを用意する


自国へ帰った後でも、外国人観光客に感動した体験を思い出してもらいたいものです。そのためには、形として残るものが不可欠です。
 最もわかりやすく、簡単に実行できるのが写真です。たとえば、着付け体験や料理教室を開催する際には、彼らが持ってきたデジカメやスマホで写真を撮ってあげることはもちろんのこと、自社のカメラでも写真撮影をするようにします。そして後日、参加者の帰国のタイミングを見計って、参加者に聞いておいたメールアドレスに画像を送るのです。もちろん無料で提供します。このアフターサービスは、当日の感動を呼び起こし、SNSへの投稿やクチコミサイトへの書き込みなどにつながるでしょう。
 土産物を渡すというのも良いと思います。「ここでしか手に入らないもの」を土産として渡せば、きっと良い思い出として、参加者の心にいつまでも残る体験となることでしょう。


  

  


執筆者
村山 慶輔
やまとごころ社長。インバウンド戦略アドバイザー。ホテル・小売・飲食・自治体向けにインバウンド情報の発信、教育・コンサルティングサービス等を提供。著書に「訪日外国人観光ビジネス 入門講座 沸騰するインバウンド市場攻略ガイド」(翔泳社)

掲載:東商新聞 2016年2月10日号

以上