中小企業のためのウェブサイトの分析・改善

第4回 ウェブサイト分析がもたらす価値

2016年10月4日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年5月20日号

ウェブサイトを改善することで、顧客の満足度を上げ、ビジネスの拡大を見込める「ウェブサイトの分析や改善」。アクセスログのデータを活用することでわかるサイト利用者の実態とニーズをもとに、そにあったサイト改善を行う方法について、具体的に解説します。(全6回)

 データを見る目的は、ウェブサイトの改善に繋げるためです。「先月2,500人サイトに訪れました」と報告されても、改善に活かせません。分析において大切なのは、なんとなく数値を見ることではなく、「気付き」を発見することです。そのためには「トレンド」「ベンチマーク」「セグメント」の3つの方法(略して「TBS」)を使って、データの「見方」を知ることです。

■トレンド
 「トレンド」とはデータを時系列で見るという考え方です。例えば「今月サイトに訪れた人が3,000人」だけでは何も分かりませんが、「前月が1,500人」という過去の情報があれば、「人が増えている。どこから追加で1,500人来たのだろう?」と考えることができます。また、「前年同月が4,000人」だとしたら、「先月よりは増えているけど、去年よりは減っている。これは問題では?」と気付くことができます。
 画像は、あるサイトの1年半の週ごとの訪問回数です。


 

 

定期的に「谷」(赤枠部分)ができているのが分かります。こちらは年末・ゴールデンウィークなどの大型連休があるタイミングで発生しています。つまり、このような休みの時には訪問が少ないことが分かります。大型連休のタイミングで数値が下がっても、その後に上がっても慌てる必要はありません。このように、訪問のトレンドを知ることは正しい判断を行なう上で重要です。また、2012年1月と2013年1月を比較すると、2012年は年末の落ち込む前より数値が高くなっていますが、2013年は落ち込む前と同じくらいにしか戻っていません(緑枠参照)。2012年はお得意様に年賀メールを送っていたが、2013年にはその内容を送り忘れたからというのが、数値の違いの理由でした。トレンドから外れた値を見ることも、サイトの悪い点や良い点を発見する上で大切です。


■ベンチマーク
 「先月1,500人訪れた」という事実だけでは気づきがありません。しかし、「先月の目標人数が500人」あるいは「2,000人」だとしたらどうでしょう?目標とする数値を設定して、比較することで、数値の良し悪しを判断することができます。第2回でも紹介した、目標やKPIを設定することの大切さはここになります。ぜひ意識して何かしら参考になる数値(=ベンチマーク)を用意しましょう。

 前回紹介したGoogle アナリティクスでは、同業種のサイトにおける様々な平均数値を出してくれる、「ベンチマーク」という機能があります。例えば自社サイトへの訪問の滞在時間が、同業種・同規模のサイトと比較して、高いのか低いのかなどを確認できます。

■セグメント
 「サイトのトップページを離脱している人が45%」という事実だけでは気付きがありません。しかし「初めて訪れた人の離脱が60%で、複数回訪れている人の離脱が20%」だとしたら、トップページが新規の人向けになっていない事が分かります。ましてや、トップページに訪れている人の7割が新規の人だとしたら、新規向けのリンクやコンテンツが必要です。このようにデータを分割(=セグメント)することで数値の「違い」を発見することができます。データにおける「違い」を見つけ、なぜその「違い」が発生するかを想像することが大切です。オススメの分割軸は「PCとスマホ」「新規とリピート」「購入と未購入」などです。 ぜひ「TBS」の考え方を活用して、データから「違い」を発見しましょう。そして、その理由を考えることが改善案を探すヒントです。


執筆者:小川 卓
ウェブアナリスト・経営コンサルタント。リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。現在は、中小企業から大企業まで様々なサイトのコンサルティングを実施。

掲載:東商新聞 2016年5月20日号

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