中小企業のためのウェブサイトの分析・改善

第2回 ウェブサイト分析がもたらす価値

2016年9月20日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年4月20日号

ウェブサイトを改善することで、顧客の満足度を上げ、ビジネスの拡大を見込める「ウェブサイトの分析や改善」。アクセスログのデータを活用することでわかるサイト利用者の実態とニーズをもとに、それにあったサイト改善を行う方法について、具体的に解説します。(全6回)

 ウェブサイトを分析する最大の目的は、「ビジネスゴールに貢献する」ためです。たくさんの数値を見たり、レポートを作成したりしてもサイトの売上には貢献できません。分析がビジネスに貢献するためには、ビジネスゴールにつながる分析を行い、その結果を元に「数値で判断をして」方向性や方策を決めなければいけません。例えば「このページのレイアウトはちょっとイマイチかな。ボタンもなんとなく分かりにくいから変えよう」という部長Aと、「このページを見ている人の9割はサイトから出てしまいバケツに大きな穴が空いた状態なので直そう」という部長Bのどっちを信じますか?
 しかし、そんな考え方も行き先、つまりビジネスゴールが決まっていなければ誤った判断をしてしまいます。行き先を決めずに船旅に出ることはありません。ウェブサイトも一緒で、何の目的もなしにサイトを作っても意味はありませんし、「改善する」という概念すら生まれません。そこで経営者として大切なのは明確なゴールを設定することです。


正しくゴールを設定する


 ゴールは「指標」「値」「期間」の「3つの要素」があり、それら3つを設定する必要があります。
 「指標」はサイト上で達成されるべき行動で、「会員登録」「お問い合わせ」「商品の購入」などが挙げられます。「値」は具体的に数値目標を意味します。500件のお問い合わせ、300万円の売り上げなどです。最後に「期間」は、それをいつまでに達成するかということです。「3カ月後」なのか「今年度の合計」なのか。この3つを設定することで初めて正しいゴールと言えます。


 

 

戦略と戦術を決める


 「ゴール」を決めたら、後はそこへの辿り着き方である「戦略」と「戦術」を決める必要があります。ここでいう「戦略」というのは「ゴールを達成するために優先するべき方針」、そして「戦術」とは戦略を実行するための具体的な手法や手段を意味します。
 ウェブサイトのゴールを達成する方法は多種多様にわたります。オンラインで商品を販売しているサイトであれば、売り上げは「訪問する人数を増やす」「訪問した人のうち、より多くの割合の人に購入してもらう」「購入単価を上げる」などが考えられます。そして、「訪問する人数を増やす」1つとっても、SEO対策・リスティング広告・メールマガジン・ソーシャルメディアの活用などが考えられます。この中で、どういった方針で目標を達成するのかを決めるのが「戦略」であり、ウェブマーケティング用語では「KPI(重要業績指標)」という言い方をします。
 では、どの戦略を選べばよいのか。最も大切なのは実行可能なのか?という観点で考えることです。人・もの・金・技術などの観点からできない行動をKPIとして選んでも目標を達成することは難しくなります。実行されない施策には意味がなく、サイトは放っておいても改善しないからです。社内のリソースや状況などを元に実現可能な方針を決めましょう。そして方針を決めたら、それを実現するために具体的にどんなアクションを取るのかを決める。これが「戦術」になります。
 一見難しそうですが、まず大切なのは目標と方針をしっかり決めて、それを周知徹底することです。これは経営者の責任であり、この内容を決めないと現場でのサイト改善難易度は一気に高くなってしまいます。



執筆者:小川 卓
ウェブアナリスト・経営コンサルタント。リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。現在は、中小企業から大企業まで様々なサイトのコンサルティングを実施。

掲載:東商新聞 2016年4月20日号

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