外国人観光客を呼び込むマーケティング

第4回 選ばれる宿泊施設はどこが違うのか?

2016年7月12日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年1月20日号

 あらゆる宿泊施設にとって、外国人観光客の増加は嬉しいものではないでしょうか。都心部では、宿泊施設が足りないといった現象すらおきています。宿泊施設にとって外国人観光客がありがたい存在である主な理由は、平日と休日の繁閑差を埋めてくれること、宿泊日数が長いことの2つでしょう。外国人観光客は休日・平日に関係なく来てくれ、また、宿泊日数が日本人よりも長い傾向にあります=図。ときに数週間滞在するということもあります。
 では、外国人観光客に選ばれる宿泊施設はどこが違うのでしょうか。

①横のつながりを大切にする


 「英語ができるか」「Wi-Fiが整備されているか」といったことも大切ですが、私がそれ以上に重要だと思うのが、「横のつながり」です。
 外国人観光客のニーズは、実に多様性を持っています。それは国や生活様式、文化、宗教などによって、求めるものが多種多様だからです。それらすべてに対応することは、一つの施設ではほとんど不可能です。そこで重要となるのが、横のつながりです。例えば、大浴場がないのであれば近隣の銭湯と、バーラウンジがないのなら斜向かいのバーと連携するのです。外国人観光客を地域・エリアで連携して受け入れ、満足してもらうのです。リピートしてもらうため、また友人や知人、インターネットなどにクチコミを広めてもらうためには、そのエリアでの総合的な満足度が重要になります。

②旅行スタイルに合ったプランを用意する


 あなたの施設があるエリアに来ている外国人観光客、すなわち見込み客はどのような人たちか把握していますか?タイからのグループ観光客が多い、韓国の2〜3人組の若者が多い、欧米からのバックパッカーが多いなど、最寄りの駅や観光スポットをリサーチすれば見えてくることがあります。
 そんな彼らに合わせたプランを用意することも重要ではないでしょうか。例えばタイ人のグループ客が多いのであれば、何人で泊まっても一律料金にするといった工夫が必要です。日本人の独特な旅行形態を押しつけるようなプランしかないというのでは、外国人観光客に選ばれにくいでしょう。もちろんこだわりをもってやることも大切ですが、外国人観光客をたくさん受け入れたいのであれば、柔軟に対応していくことも検討したいですね。

日本人と外国人の旅行スタイルの特徴

日本人と外国人の旅行スタイルの特徴

③配慮は必要、でも特別視は不要


 トイレの使い方や温泉の入り方など、外国人観光客にはわからないことがたくさんあります。例えば中国や東南アジアを筆頭に、多くの国ではトイレットペーパーを便器に捨てる習慣はなく、ゴミ箱に捨てるのが一般的です。ヨーロッパの温泉では、水着着用がルールだったりします。こうした習慣や常識の違いを埋めるためにも、英語やピクトグラム(視覚的な図)などで説明するといった配慮が不可欠です。
 そう言うと、彼らを「特別視しなければ」と感じる人もいるようです。それは少し違うと思います。「外国人のお客様は日本人とは違うから、◯◯してあげなければいけない」とマニュアルで固めれば固めるほど、彼らは窮屈さを感じるでしょう。そのバランス感覚はとても重要ですので、自分が海外旅行に出かけた際に、気持ちよかった接客と肩身の狭い思いをした接客とを書き出してみてはいかがでしょうか。


執筆者
村山 慶輔

やまとごころ社長。インバウンド戦略アドバイザー。ホテル・小売・飲食・自治体向けにインバウンド情報の発信、教育・コンサルティングサービス等を提供。著書に「訪日外国人観光ビジネス 入門講座 沸騰するインバウンド市場攻略ガイド」(翔泳社)

掲載:東商新聞 2016年1月20日号

以上