外国人観光客を呼び込むマーケティング

第2回 現状を把握し、ターゲットを絞る

2016年6月28日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年12月10日号

 「中国人は買い物が好き」「欧米人は日本の文化体験を求めている」といったザックリとしたイメージで、インバウンド施策をしてうまくいくでしょうか。
 同じ中国からの旅行者でも、富裕層と中間層では求めているものは全く異なります。台湾人の中には、多くのベジタリアンがいます。タイ人の中にはイスラム教徒がいます。ドイツ人とフランス人とでは、趣味嗜好は異なります。
 私自身、様々な企業を支援してきた中で、「外国人観光客に選んでもらえない……」と悩んでいるところほど、ターゲットが曖昧だと感じてきました。
 逆に、「中国人富裕層の個人客を呼び込んでいます」「タイからの10人未満のグループ客を狙っています」と、明確なターゲットがあるほど、成果が出ています。もちろん全方位型でもうまくいく場合がありますが、「これから始める」「なかなか結果が出ない」といった段階では、先にターゲットを明確にすべきです。全方位型より満足度が得やすくなることもその理由の一つです。

ターゲットを絞る前に把握すべきこと


 ターゲットを絞る際に、現状把握が不可欠です。まず自分たちの会社や地域を訪れている外国人観光客の数や属性を調べましょう。
 特に重要なのが、彼らの動きを捉えること。日本人客と違って、外国人観光客は必ず空の便・海の便を使って日本に来ています。どのような交通機関やルートで来ているのかを把握できれば、ターゲットを絞るヒントになるばかりではなく、どんな施策を打てばいいかも見えてくるからです。

ターゲット選定のためのチェックリスト

ターゲット選定のためのチェックリスト

各国の観光客の特徴とは!?


 具体的に、国や地域ごとにどんな特徴があるのか見ていくことにしましょう。
 「爆買い」でお馴染みとなった中国人観光客ですが、大きく個人旅行者と団体旅行者にわけられます。個人旅行者でも特に沿岸部から来る人は旅慣れたリピーターも増えています。一方、団体旅行者は比較的初来日の方が多く、最近では内陸部やクルーズ船で来る方も増加傾向にあります。
 同じ中華圏でも香港や台湾からの旅行者は特徴が異なり、両者とも流行に敏感で、好奇心旺盛、文化体験や趣味に関心が強いのが特徴です。
 2015年になって、中国・香港・台湾と日本の各空港とを結ぶLCC(格安航空会社)が新規就航してきています。これらの見込み客が、どのような動きを見せるのかにも注目すべきでしょう。

 韓国人の特徴にも触れないわけにはいきません。長らく国別訪日外国人数で一位を誇ってきた彼らは、リピーターが多く、映画、小説、アニメ、マンガといったカルチャーやゴルフ、スキーといったレジャーなどの明確な目的を持っている場合が多いでしょう。「特定のロックバンドのライブのために、週末だけ日本へ来る」といったことがしばしば見られるのは、彼らにとって日本が身近である証拠でしょう。
 最後にアメリカ人ですが、彼らは圧倒的に個人旅行者が多く、わかりやすい日本の和の文化や体験プログラムを求めていると言えます。長期休暇で日本を訪れる人も多く、日本人よりもじっくりとその土地に腰を据えて旅行をするのが特徴です。
 ここでは簡単に触れましたが、各々の国や地域の特徴を踏まえた上で、ターゲットを絞らなければ、どんな施策も大海に一滴の雫を垂らすようなもの。ぜひ一度自分たちのターゲットについて、じっくりと検証してみてください。


執筆者
村山 慶輔

やまとごころ社長。インバウンド戦略アドバイザー。ホテル・小売・飲食・自治体向けにインバウンド情報の発信、教育・コンサルティングサービス等を提供。著書に「訪日外国人観光ビジネス 入門講座 沸騰するインバウンド市場攻略ガイド」(翔泳社)

掲載:東商新聞 2015年12月10日号

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