健康経営のすすめ~従業員の健康づくりを推進し、業績の向上を図る~

最終回 先進事例を糧に健康経営の推進を

2016年1月26日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年8月10日号

 健康経営に積極的に取り組む企業も現れています。その一つが花王株式会社です。健康な社員と家族があってはじめて会社の発展がある、との考えから、健康経営に早期から取組み、2012年にはDBJ健康経営格付の最高ランクを取得し、2015年には健康経営銘柄として選定を受けるなど社会的に高い評価を受けています。

トップからの明確なメッセージ


 花王では、2008年に経営トップからのメッセージとして「花王グループ健康宣言」を発表しています。この中では、「社員の健康づくりに積極的に関与し支援していく」という会社の意思を明示するとともに、「健康づくりの主体はあくまでも『あなた』」であるとして、社員が自ら取り組むべき事項も明示しています。

花王健康宣言冊子

花王健康宣言冊子

ヘルスリテラシーを高める施策


 花王では「ヘルスリテラシーの高い社員を増やす」ことを目標に各種の施策を行っています。その中でも特徴的なものが「インセンティブの活用」と「健康ポータルサイトの活用」です。
 インセンティブの活用施策として、花王では健康マイレージという仕組みを社員に提供しています。日々の健康行動の入力や健康診断結果の改善などによって、ポイントが溜まる仕組みになっており、溜まったポイントは各種の商品と交換できるようになっています。こうした仕組みは社員が健康に興味を持ち、健康生活を続ける上での励みとなっています。
 また、花王ではQUPiOという健康ポータルサイトの活用に注力しています。QUPiO上には各社員の健診結果が登録されており、健診結果に基づいたアドバイスや各種の健康知識、健康コラムなどの情報提供に加え、適宜開催されるイベントなども用意されています。しかし、こうしたWebツールの問題点は「社員に使ってもらえない」という点です。花王では会社ぐるみで利用促進に取り組み、繰り返し案内メールを送る、QUPiO上で特典つきのウォーキングキャンペーンを開催する、などの工夫を加えることで、登録率は40%となっています。

花王の社員向け健康ポータルサイトQUPiO画面

花王の社員向け健康ポータルサイトQUPiO画面

中小企業は創意工夫した取組みを


 今回は花王の取組みを紹介しましたが、中小企業における健康経営の事例はまだ少なく、こうすれば上手くいく、という方法はまだ明確になっていません。中小企業が健康経営に取り組む際には、自社の現状を踏まえ自ら創意工夫して取り組むことが求められます。その際に、今回の事例は参考になります。
 また、東京商工会議所では、中小企業の健康経営を支援する「健康経営アドバイザー」を養成・認定する仕組みを開発中です。将来的には健康経営アドバイザーの活用が健康経営実施の大きな後押しとなることが期待されます。
※健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です


ヘルスケア・コミッティー株式会社
2003年創業。予防医学に基づく健康ソリューションサービスなどを展開。経済産業省の調査事業として健康経営を評価する仕組みを開発した。文京区。

掲載:東商新聞 2015年8月10日号

以上