イノベーションを生み出すオフィスづくり

最終回 働く人自身が参加し、進化し続けるオフィス

2016年3月22日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年08月20日号

 オフィスづくりに終わりはありません。特にイノベーションを生み出したいのであれば、変えたいのはオフィスよりも働き方と組織行動です。総務部や設計会社のプロに任せるのではなく、オフィスづくり自体を組織改革と合致させて関係者を巻き込んでいく必要があります。連載の最終回はオフィスづくりへの取り組み方と成功のポイントをまとめていきましょう。

 今のオフィスづくりに求められているのは綿密な調査による機能設計よりも、動的な知的生産が行われる場をつくるプロセス設計です。働く人の能動性や活力を引き出すことでイノベーションが生まれやすくなるという研究が進んでいますが、進化を前提としたオフィスづくりは最近のトレンドです。また、オフィスづくりには経営者、総務、人事、財務、IT、そしてイノベーションを担う事業部門で働く全ての人に関わってもらわなければなりません。しかし、実際に移転や改装が行なわれるとき、全社員が参加することは不可能です。経験上はだいたい、1/3を巻き込めれば成功の確立は高くなります。

横のつながりを強化するロングテーブル

横のつながりを強化するロングテーブル

 職階や専門領域が異なる人たちが協業し、オフィスを進化させることでイノベーションを生み出していく。そのポイントは、・共通言語と見える化、・コミュニティをつくり自主運営、・小さく試した後に広める、の3つです。・は、前述したようにオフィスづくりにはさまざまな人たちが関わるため、用語や尺度が異なり、例えば生産性といってもポイントがずれてしまうことが多々あります。ありたい姿とゴール、評価軸、コンセプトなどをしっかり擦り合わせておくと合意形成がしやすくなります。・は移転や改装というイベントを通じて、オフィスと働く人の関係を変えるというアイデアです。これまでも紹介してきましたが、人の行動を変えるためには、意識や文化づくりが不可欠です。オフィスは街づくりと似たようなプロセスが必要で、参加型の仕組みがあると新しいアイデアやアクティビティが生まれやすくなります。・は「変化」は全体から起きないという複雑系理論から、小さく試しながら成功を重ねて大きくしていくという方法です。成功体験のある組織はシステムが出来上がっているので「変化」を排除しがちです。小さなパイロットプランで新しいシステムを試しながら段階的に広げていくと、実践者が徐々に増えてやがて全体にも受け入れられるようになります。

ボードを使いアイデアを出し合う

ボードを使いアイデアを出し合う

 日頃、働いているオフィスは気がつかないうちに私たちの意識や行動を左右しています。あらためて、仕事を通じて何を生み出したいのかを考え、そのためにどんな働く光景がイメージできるのか、イマジネーションを働かせて頂ければ幸いです。

遠方者とも頻繁にすり合わせ

遠方者とも頻繁にすり合わせ


執筆者
齋藤 敦子

コクヨ WORKSIGHT LAB. 主幹研究員

掲載:東商新聞 2015年08月20日号

以上