イノベーションを生み出すオフィスづくり

第3回 会議を変えるとアウトプットが変わる

2016年3月8日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年07月20日号

 オフィスで働くワーカーにとって何かと問題が多いのが「会議」です。1日中会議で仕事が進まない、会議で意見が出ず何も決まらない等の話はよくあります。無駄な会議はやらないと宣言する会社もありますが、横連携やプロジェクトワークが多くなる中で会議=ミーティングの必要性は増しています。今回はイノベーションを生み出すオフィスづくりのポイントとして会議室まわりについて考えてみましょう。

 オフィスを改装または移転するとき、働く人たちにオフィスの改善点を挙げてもらうと「会議室が足りない」という回答が必ず返ってきます。しかし、これまでのような会議室が必要なのでしょうか。一般的な会議室は外の状況が分からず、内で起きていることが見えない密室です。今、多くのオフィスワーカーが求められているのは創造的な働き方であり、新しい会議のあり方を考える必要があります。
 例えば、20人が参加する会議で発言者が3~4人であれば、時間とコストの無駄です。情報共有が目的であれば短時間で済ませるか、ネットの情報共有でもよいかもしれません。また、アイデアを発散したいのであれば、閉鎖的な会議室ではなくフラットで外部刺激が入ってくるような環境が良いでしょう。

ミーティングやブレストを行うオープンスペース 写真提供:コクヨファニチャー 品川オフィス

ミーティングやブレストを行うオープンスペース 写真提供:コクヨファニチャー 品川オフィス

 一般的なオフィスの動線は安全面と機能面、例えば最短距離でワーカーが移動できるように設計しますが、イノベーションを生み出している企業のオフィスの動線はコミュニケーションを誘発する仕掛けがあります。街のメインストリートのように、動線上にカフェやショップ、ギャラリーを配置するケースもよくあります。ある生活用品の製造販売をしている会社の経営者がオフィス内を見て回ったときに、社員が自席のパソコンに向かったまま会話もなく仕事をしている姿を見て驚いたそうです。現場主義を重視するその会社は、自席に根を生やしていたのではチームワークが発揮できず良いアイデアも生まれないと、グループでテーブルを共有するオフィスに変えました。すると、社員がオフィス内をダイナミックに動き回るようになり、組織の風通しが一気に良くなったそうです。

 図に示した2つのオフィスレイアウトは実際によくある配置パターンです。左は典型的な日本企業のオフィスで縦割りが強く、管理型のマネジメントには向いていますが部門を越えた協働は起こりにくくなります。一方、右はチームを主体とした働き方をしている企業のオフィスで、日常的な擦り合わせやコラボレーションが促進されます。マネジャーが動線の近くに座り、組織全体の知識創造と意思決定を加速させている企業もあります。

 動きながらの能動的なコミュニケーションはポジティブなアイデアが生まれやすいという研究や、歩くことで脳が活性化され、創造性が高まるだけではなく心身の健康にもよい影響を及ぼすという医学的見解もあります。オフィスづくりは家具やビル設備から入りがちですが、人間の身体でいうと新陳代謝を促す血流ともいえる「動線」から考えてみて欲しいと思います。次回は、オフィスの中でも課題が多い「会議」についてお話します。

お互いの顔が見えにくく、対立構造になりやすい 進行役が固定化しがち

お互いの顔が見えにくく、対立構造になりやすい 進行役が固定化しがち

お互いの顔が見えて自由に発言しやすい発散と収束を交互に行える

お互いの顔が見えて自由に発言しやすい発散と収束を交互に行える


執筆者
齋藤 敦子

コクヨ WORKSIGHT LAB. 主幹研究員

掲載:東商新聞 2015年07月20日号

以上