クラウドファンディング活用術

最終回 飲食・コンテンツ分野の活用事例

2016年2月16日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年11月10日号

 前回までは、クラウドファンディングがメーカーのテストマーケティングとして大きな効果を発揮しているという話をしましたが、今回はそれ以外でもビジネスを加速させる活用例を紹介します。

飲食店開業の活用例


 最近、急速に飲食店の開業のタイミングでの活用が増えてきました。クラウドファンディングで飲食店の開業というと、開業に必要な資金を全てまかなうと誤解されることが多いのですが、次のような目的での利用が上手な利用方法だと言えます。
・お店の内装や設備をグレードアップするための費用の捻出
・初期のロイヤルカスタマーの獲得
 資金の出し手は、自分が開店に少しでも関わっている感覚が得られることで、そのお店に頻繁に来店してくれる常連客になってくれるようです。お金を出してくれた人には、お店の会員権(会員しか予約できないなどの特典付き)やお食事券などが人気のリターンとなっています。1,000万円を超える資金を集めるお店もありますが、資金獲得のメリットよりも、オープン前にも関わらずロイヤルカスタマーを何百人も獲得できたことが一番のメリットだったそうです。

世界初!「日本酒吟醸熟成肉」を「ミートキープ」!五感で味わう最高峰の劇場型焼肉!

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コンテンツ制作の活用例


 日本にクラウドファンディングという概念が入ってきて間もなくから、映画やアニメやゲームや音楽などのコンテンツ系の利用はありましたが、最近はビジネスのリスクを下げ、チャンスを広げるという考えで利用しているコンテンツ例も出来てきました。
 「この世界の片隅に」というアニメ企画がクラウドファンディングを活用した際に、この作品のパイロット版を制作するために必要な資金を集めました。通常のアニメ制作におけるパイロットフィルムは制作会社や企画会社が持ち出しで制作し、本編に必要な資金を獲得するプレゼンテーション素材にするのですが、この初期費用のリスクを下げるべくクラウドファンディングを活用しました。また、同時にこの作品に資金が集まるということは、この作品の完成を求めているファンが世の中に沢山いるという証明にもなるため、メディアで話題になることはもちろん、本編制作に必要な大きな資金を別途企業から調達でき、さらに配給会社も決まるなど、しっかりとチャンスを広げる結果になりました。
 このように、クラウドファンディングは資金調達だけでなく、テストマーケティング、ファン作り、プロモーションなどに活用でき、ビジネス成長の良きツールとして活用できることが増えてきました。それぞれのビジネス内容によってぜひいろいろな活用の仕方を見つけてみてください。

片淵須直監督による「この世界の片隅に」(原作:こうの史代)のアニメ映画化を応援

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執筆者
中山 亮太朗

サイバーエージェント・クラウドファンディング社長。クラウドファンディングの購入型プラットフォーム「Makuake」を運営。

掲載:東商新聞 2015年11月10日号

以上