健康経営のすすめ~従業員の健康づくりを推進し、業績の向上を図る~

第3回  健康を経営課題にする

2016年1月19日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年7月10日号

従業員の健康を重要な経営資源として捉え、健康づくりの推進を「コスト」ではなく「投資」と考えて積極的に取組み、業績向上に繋げていく「健康経営」のポイントについて紹介します。(全4回)

 「健康」はまだまだ個人の問題や福利厚生の一つとして捉えられることが多く、経営者が経営課題として認識し、取り組むことは少ないテーマです。
 健康増進の取り組みをコストではなく投資と考えるのであれば、任せるべきところは専門家に任せながら経営者によるマネジメントの下で運営することが必要です。経営者が健康に関してマネジメントすることで健康増進を組織的な取り組みにできます。
 「健康を経営課題にする」ための具体的な活動の一つが明文化です。例えば、健康に関する会社方針を「健康宣言」などの形で発表するといった取組みがあります。花王、第一生命保険といった企業は健康宣言を発表し、社内外に対して健康経営に取り組む姿勢を示しています。

社長自ら語りかける


 明文化しただけでは従業員の意識は変わりません。社長自ら「健康を経営課題とする」ということを発信するのは非常に有効です。
 半導体装置製造メーカーのディスコでは、社長自ら「これから健康に注力する」旨を宣言し、全社的に健康増進の意識を高め、その上で研修会などの施策を行うことで、施策の効果を高くすることに成功しています。
 また、ある企業では、経営者が朝礼で頻繁に健康の重要性を伝えたところ、健康診断に加え再検査の受診率も100%近くになるという実績が出ました。

健康経営のメリットが増えつつある


 こうした、健康経営に積極的な企業を支援する仕組みが、近年整いつつあります。初めに登場したサービスが日本政策投資銀行(DBJ)のDBJ健康経営格付です。DBJと当社が健康経営の実施状況について評価をし、評価結果のランクに応じてDBJが優遇金利にて融資を行う仕組みです。2011年度の登場以来、既に40社以上の企業が利用しています。また、青森銀行も「ながいきエール」というサービスを開発し、基準に合致した企業に対して特別金利での融資を行っています。
 さらに、福島県の東邦銀行は、協会けんぽ福島支部の進める「健康づくり宣言」を行った企業に低金利で融資を実施し、その企業の従業員にも低金利でローンを提供するサービスを始めました。
 銀行以外にも、経済産業省と東京証券取引所が健康経営に取り組んでいる企業を「健康経営銘柄」として選定する仕組みや、厚生労働省が安全衛生に取り組む企業を「安全衛生優良企業」として認定する仕組みも登場しています。地方自治体では、大分県が認定基準に合致する企業を「健康経営事業所」として認定する活動を始めています。こうした認定を得ることは従業員、求職者、取引先、株主などへのイメージ向上に効果的です。
※健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です

銀行や官公庁等では「健康経営企業」を支援(一例)

銀行や官公庁等では「健康経営企業」を支援(一例)


執筆者
ヘルスケア・コミッティー株式会社
2003年創業。予防医学に基づく健康ソリューションサービスなどを展開。経済産業省の調査事業として健康経営を評価する仕組みを開発した。文京区。

掲載:東商新聞 2015年7月10日号

以上