健康経営のすすめ~従業員の健康づくりを推進し、業績の向上を図る~

第2回  まずは自社の現状把握から

2016年1月12日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年6月10日号

従業員の健康を重要な経営資源として捉え、健康づくりの推進を「コスト」ではなく「投資」と考えて積極的に取組み、業績向上に繋げていく「健康経営」のポイントについて紹介します。(全4回)

 『健康経営』といっても特別なことはありません。“企業経営”になぞらえて考えてください。大切なのは、PDCAです。まずはPlan(計画)、そのために自社の従業員の健康状態を把握することからスタートします。
 経営資源として、人、モノ、金、情報、時間などがある中で、モノ(設備)は、定期的に検査をして、その能力を最大限発揮できるようにメンテナンスしているかと思います。
 人(従業員)という、最も重要な経営資源はどうでしょうか?従業員にどういった健康リスク、疾病を抱えた人がどのくらいいるか、その人たちの属性の特徴が何か、どういった疾病で会社を休む人が多いのか、などといったことを把握している企業は、まだ少数でしょう。把握していても、産業保健の医療専門職に限られる場合が大半かと思います。
 あてずっぽうに健康増進の取組みを行っても、効果は期待できません。現状把握に基づいて、自社の従業員の健康状態にあったテーマや対策を検討し、実施してください。

健康診断の有所見者割合

健康診断の有所見者割合

現状把握の方法


 従業員の健康状態を把握するためのデータには、健康診断データ、勤務時間、ストレスチェック結果、労災の状況、医療費などがあります。
 健康診断データからは、例えば、悪化して透析に至ると、週3回も通院しなくてはならない糖尿病のリスク者の割合や、その原因の一つになる肥満者の割合が分かったりします。
 「現在どんな健康増進の取組みを行っているか」という点についても整理することが有効です。それにより、施策の抜けや重複、予算配分のバランス、データの背景にある現状などが明らかになり、より効率的な運営を考えるヒントが得られます。

施策の棚卸し

施策の棚卸し

健康保険組合による支援も始まる


 「データで現状分析するといってもなかなか難しそうで…。」と二の足を踏む企業も多いでしょう。分析は、特別難しいものではありませんが、データの値の意味するところを理解していないと、時間を要したり、解釈ができないケースが起こりえます。
 そんなときは、健康保険組合を活用してみてください。現在、健保組合は「データヘルス計画」に取組んでおり、健康診断や医療費のデータを分析しています。個人レベルの情報はもらえませんが、自社の従業員の健康状態について、健保組合全体や属性の似た事業所と比較して、教えてくれるケースも増えています。例えば、協会けんぽ大分支部では、健診データを取りまとめたレポート(事業所健康診断シート)を作成、提供しています。
※健康経営はNPO法人健康経営研究会の登録商標です

事業所健康診断シート(抜粋)

事業所健康診断シート(抜粋)


執筆者
ヘルスケア・コミッティー株式会社
2003年創業。予防医学に基づく健康ソリューションサービスなどを展開。経済産業省の調査事業として健康経営を評価する仕組みを開発した。文京区。

掲載:東商新聞 2015年6月10日号

以上