中小企業のM&A

第3回 M&Aの成功事例

2015年12月22日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年5月20日号

M&Aを進める際の留意点や進め方、手続きなどについて紹介します。(全4回)

 今回は当センターで支援したM&A成功事例について解説します。

■隣接業種を譲り受けた事例
 電気工事会社(A社)社長は70代と高齢であったため、当初は社内の番頭さんに経営を承継しようと考えた。しかし資金の負担等の理由から社内承継は難しいと判断し、当センターへ相談。
 当センターに登録されている電気工事業の譲受ニーズの中から管工事会社(B社)を紹介。当事者主体で条件調整を行ない、当センター登録の専門家(弁護士)の助言のもと株式譲渡が成立。
 静岡県を本社とするB社はA社(神奈川県)をグループ化することで事業エリアを拡大し、管工事に加えて電気工事業という新たな事業の柱を加えることができた。A社はB社のグループとして事業の存続、従業員の雇用維持を図ることができた。

隣接業種を譲り受けた事例

隣接業種を譲り受けた事例

■拠点拡大のため遠隔地の同業者を譲り受けた事例
 事務機器販売のC社(東京都)は価格競争の激化する厳しい業界環境下で将来に不安を感じており、事業の維持発展のためにはより大きな企業のグループ傘下で経営を安定させることが必要と考え当センターに相談。
 当センターに登録されている事務機器販売の譲受ニーズの中から同業の事務機器販売D社(大阪府)を紹介。当事者主体で条件調整を行ない、当センター登録の専門家(弁護士)の助言のもと株式譲渡が成立。
 今回のグループ化により譲渡企業C社はOA機器販売・保守のみならず譲受企業のノウハウを生かしてネット事業など新サービス展開が期待され、収益改善を目指す足掛かりとすることができた。譲受企業D社は東京の事業拠点の拡大、保守サービスの拡充を図ることができた。

拠点拡大のため遠隔地の同業者を譲り受けた事例

拠点拡大のため遠隔地の同業者を譲り受けた事例

■従業員が譲り受けた事例
 出版校正を手掛けるE社の創業オーナー社長は60代後半に差し掛かり、社内の従業員へ事業承継することを決断。譲渡金額の考え方や譲渡手法など従業員承継をどのように進めていけばよいか当センターに相談。
 従業員承継を検討する際には・承継候補者の経営能力・意思、・株式買取りの資金負担、・保証債務(銀行借入等)の承継という3つのハードルをクリアできるかが問題となる。
 E社は幸い銀行借入も無く、安定して黒字が見込め、また株価もそれほど高くない状況であったため、従業員が承継しやすいケース。
 E社オーナー社長としては従業員1人で経営を担うのは荷が重いため複数名による共同経営という形を取りたいという意向であった。当センターでは一般的な承継手法(株式譲渡、新会社設立)や議決権比率など説明し、後々のトラブルを防ぐよう経営新体制を検討されることを助言。
 顧問税理士の助言のもと従業員2人をそれぞれ代表取締役、専務取締役に任命し、株式も傾斜をつけて譲渡を実行。円滑な従業員承継が実現した成功事例と言える。

 M&A成功の秘訣は、譲渡側オーナーが譲渡決断の時期・仲介者を適切に判断すること、自らの利益(高い売却益)だけでなく事業存続・従業員の雇用維持に十分配慮することです。
 次回はM&Aの失敗例を解説します。

従業員が譲り受けた事例

従業員が譲り受けた事例


執筆者
東京都事業引継ぎ支援センター

掲載:東商新聞 2015年5月20日号

以上