管理職を育てる 環境づくり

第5回 評価測定する

2015年12月8日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年6月10日号

管理職を育てるための環境づくりのポイントについて紹介します。(全6回)

■評価の前にやらなければならないこと

 前回は、「動機づけを行う」というテーマで、どうすれば部下のやる気を引き出し、優れた仕事をしてもらうことができるか、という話をしました。優れた仕事をしてもらうためには、その仕事に対して評価しなければなりません。ここでいう評価は、人事評価のことではなく仕事の評価のことです。何をどう取り組めばさらに成果を上げることができるか。何を改善すれば成果を上げることができるか部下本人がわかるようにするということです。つまり、部下本人が自分の仕事を自己評価できる状態にするということです。

■成果は何か?

 あなたは常に部下のことをよく見ていると思います。時には、部下に任せた仕事が心配なあまり、部下の動きを監視してしまうこともあると思います。同じように、部下も上司のことをよく見ています。どこまで許されるのか、どうすれば評価されるか、ということを思いながら部下は上司のことをよく見ています。何で評価するか。これが部下の仕事を決めているのです。経営者と話す際に、「成果は何ですか?」と尋ねると「売上」と答える方が多くいます。売上を成果としてしまうと部下は会社の都合や組織の事情で仕事をするようになってしまいます。何のために仕事をしているのかがわからなければ、打つべき時に打つべき手立てが打たれなくなり、やがて事業は成長する力を失ってしまいます。では、何を成果とすればいいのでしょうか?

■成果は組織の外にある

 マネジメントの父、ドラッカーは、次のように言っています。「あらゆる組織が社会、経済、人間に貢献するために存在する。当然、成果は組織の外にある。それは社会、経済、顧客に対する成果として現れる。企業のあげる利益にしても、それをもたらすのは顧客だけである」。
 会社はお客様がいるから成り立っています。会社はお客様のために存在しているのです。したがって、成果とは「お客様で起こる良い変化」です。もちろん、事業の内容によって、「お客様で起こる良い変化」の内容は違います。いずれにしても、自分たちが関わることによって、「お客様の何が良くなったか」、「お客様がどのように良くなったか」、「お客様はどれだけ良くなったか」といったことを成果にすれば、社員はそのような方向に向かって仕事をしてくれます。成果の上がる方向に向けて仕事をしてもらうために、ぜひ3つのことに取り組むことを薦めます。

■今日のアクション

 3つの問いに対する答えを出すことによって、部下の仕事を適切に方向付けすることができます。

1. お客様にどう良くなってほしいかのか
2. お客様の良い変化は何か
3. お客様の良い変化を何で測っていくか


執筆者
山下 淳一郎(やました・じゅんいちろう)

トップマネジメント社長。ドラッカー専門のマネジメントコンサルタント。会社が本来持つ力を最大限に活かす為に経営者を対象にマネジメントの支援を行なっている。

掲載:東商新聞 2015年6月10日号

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