管理職を育てる 環境づくり

第4回 動機づけを行う

2015年12月1日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年5月20日号

管理職を育てるための環境づくりのポイントについて紹介します。(全6回)

■上司のストレス、部下の不満

 この前注意したばかりじゃないか!何回言ったらわかるんだ!やる前に確認してくれればいいのに!少しは自分で考えてやってしてほしい!部下を持つ方であれば、誰でも一度はこのような気持ちになったことはあるのではないかと思います。また、前と言っていることが違うじゃないか!思い付きでものを言わないでほしい!やる前に確認しないとあとが面倒だ!自分で考えてやってしまうと叱られる。部下の方はこんな想いになったことがあるかと思います。今回のテーマは「動機づけを行う」です。動機づけとはやる気になってもらうことです。

■動機づけが事業を左右する

 会社は社長の意思決定によって従業員が動くことになっています。同じように、組織も上司の考えによって部下が動くことになっています。しかし、これは一昔前の常識です。指示命令で優れた仕事は生まれません。部下に優れた成果をあげてもらうためには、本人に自発的なやる気をもってもらう以外にありません。では、やる気をもってもらうためにどうすればいいのでしょうか?

■部下のやる気を引き出すもの

 上司は、億劫がらずに部下との関わりに時間を割くことです。心を砕くことです。それ以外にありません。時間を割くこともなく、心を砕くことさえなく、何か特別な方法で、部下をやる気にさせる方法などありません。噛み砕いて言えば、部下の置かれている状況、部下がいま考えていること、部下が会社に伝えたい意見、それらをじっくり聞いてあげることです。部下の話を聞くだけ?と思われるかもしれませんが、人は無理矢理説得されるより理解してもらったという方が、はるかに意欲が高まるものです。

■部下のやる気になるために

 安易な方法論よりも根本的なことに立ち返ってみたいと思います。人は仕事に価値を感じれば頑張ります。仮に、この世に一瞬で人をやる気にすることができる方法があったとしても、人は仕事に価値を感じなければ頑張れません。仕事の価値とは、この会社の事業は社会にとってどんな意味があるのか?なぜ、この仕事が重要なのか?といったことです。上司が、仕事の意味を部下に伝えることです。

■今日のアクション

 次の1~10は、部下の置かれている状況や部下がいま考えていること、部下が会社に伝えたい意見を引き出す10の問いかけです。それぞれの言い回しは、あなたにとってしっくりくる言い方に変えて応用してください。

1. 私はあなたの仕事について何を知らなければならないか
2. この組織について気になることは何か
3. 私に聞きたいことは何か
4. われわれがまだ手をつけていない機会はどこにあるか
5. われわれがまだ手をつけていない危機はどこにあるか
6. うまくいっていることは何か
7. うまくいっていないことは何か
8. 改善しなければならないことは何か
9. 私はあなたの仕事の助けになるような何かをしているか
10.私はあなたの仕事の邪魔になるような何かをしているか


執筆者
山下 淳一郎(やました・じゅんいちろう)

トップマネジメント社長。ドラッカー専門のマネジメントコンサルタント。会社が本来持つ力を最大限に活かす為に経営者を対象にマネジメントの支援を行なっている。

掲載:東商新聞 2015年5月20日号

以上