人事戦略として取り組む障害者雇用

第2回  これからの障害者採用手法とは

2015年10月20日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2015年3月20日号

障害者雇用に戦略的に取り組む方法を紹介します。(全3回)

■ハローワークの障害者専門窓口や支援機関と連携した採用を

 これからの障害者雇用は、特性に合わせた業務への配置が重要であり、ノンコア業務を切り出して職域とする方法についてお話をしました。業務を切り出せたら、いよいよ採用活動です。
 採用手段としてはハローワークへの求人が一般的であり、障害者専門の相談窓口では、求職者市場などについて詳しく教えてくれます。また、障害者就職面接会を定期的に開催しており、多くの企業と求職中の障害者が一堂に面接を行うことができます。企業からみると、より多くの方の中から採用できるというメリットがあります。
 そのほかに、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所で就労支援を受けたり、障害者職業能力開発校や特別支援学校に在籍している障害者もいます。これらの機関には、知的障害者、精神障害者、発達障害者が比較的多く、就職を目指して職業訓練を受けています。機関の担当者は本人の特性や能力をよく理解していますので、採用に関して参考になる情報を持っています。これからの採用手法は機関とうまく連携を図り、会社の求める人材を紹介してもらうとよいでしょう。

■職場実習を取り入れた選考手法で採用後のミスマッチを軽減する

 支援機関から障害者を紹介された後、どのように選考を進めればよいでしょうか。今までの障害者雇用は身体障害者が中心であり、選考方法は筆記試験や面接など健常者と同じでした。しかし、知的障害者、精神障害者、発達障害者を採用する場合は、1、2回の面接で適性を判断することは難しく、本人たちも自身のことをうまく伝えられない、ということがよくあります。そこで選考のひとつとして、実際の職場で仕事をしてもらう「職場実習」を行い、障害特性の把握や就労適性があるかを確認し選考の参考にします。
 実習では、「通勤力」「業務能力」「コミュニケーション力」を中心にみていきます。「通勤力」は時間通りに毎日通勤できるかということ以外に、遅刻・欠勤する際に電話連絡できるかなど、基本的な労働習慣を確認します。「業務能力」は仕事のスピード・精度はもちろんのこと、仕事をする上での基本であるホウレンソウができているか、ミスをした際に謝罪できるかなどをみていきます。「コミュニケーション力」は業務指示がしっかり理解できているか、周囲と協調性を持って取り組めるか、あいさつや言葉づかいがきちんとできるかなどが評価材料となります。期間は1、2週間が一般的であり、切り出しをしたノンコア業務に就いてもらいます。初日にできなかったことが最終日には上手くできるようになったりと、成長を感じられる方はたくさんいます。これらの成長度合いも選考材料のひとつになります。また障害者本人も実習を行うことで、仕事や環境に慣れるかどうか、人間関係が上手くいくか、を判断することができます。入社後のミスマッチを事前に防ぐためにも、実習は大変有効な採用手段だといえます。
 実はこの実習は、本人のことを理解すること以外に、周囲の社員への障害理解啓発にも繋がるという大きなメリットがあります。障害者雇用を進める際に「障害者と働いたことがないので接し方や配慮点が分からない」という話がありますが、実習で一緒に働くことによって、これらの不安点は軽減されます。また、障害特性ゆえに苦手なこと、得意なことがみえ、配慮点も自然と分かるようになることで、障害理解が一層進むことでしょう。


執筆者
白岩 忠道(しろいわ・ただみち)

パソナハートフル取締役管理統括部長。2003年、パソナグループの特例子会社である同社を立ち上げ、障害特性に合わせた職域開拓を行うかたわら、企業の障害者雇用コンサルティングに従事。10年からは東京都教育庁から委嘱を受け、特別支援学校の就労アドバイザーとしても活動中。

掲載:東商新聞 2015年3月20日号

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