クレーム客をお得意様客に変える方法

第4回 クレーム客を笑顔に変える、魔法のクロージング

2015年9月29日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2014年12月10日号

クレームへの対応とクレーム客を得意様客に変える方法を紹介します。(全5回)

 対面でも電話でもクレーム対応では、お客様の話をしっかり聞くために、メモを取ることをおススメしています。メモの取り方は、お客様が仰った言葉のキーワードのみを書き残すのではなく、議事録を残すかのように極力全部書き取ることが重要です。
 特に現場でのクレームは、対応者が経緯を上司に報告する際に、「自分の評価を下げたくない」という心理が働き、自分の都合の良いように、お客様の申し出のあったクレーム内容と違うニュアンスで報告が挙がってくることで、余計なトラブルになってしまうことが多くあります。
 クレーム対応はトラブルを起こした従業員の犯人捜しをするのではく、お客様が何に対してお怒りなのか、どういうお気持ちにしてしまったのかという事実をメモしながら、しっかり確認することを優先してください。

■事実確認をしっかりやる

 当然ですが、メモを取り、こちらが話を全部聞くことが大切ですので、こちらの言い分があっても、お客様の話を遮って、こちらが話始めるということもしてはいけません。自分が話している途中で話を遮られると、誰でもいい気分はしません。クレーム対応の場合は、特にそうです。
 そもそも人は、自分の言いたいことをすべて出し切らないと、人の話を聞かないという習性があります。仮にどんなに素晴らしい解決策を提示しても、お客様が話している途中で遮ってそれを提示したとしたら、まったく受け入れてもらえないばかりか、かえって話がこじれてしまいます。
 まずはお客様に吐き出すだけ吐き出してもらいましょう。どんな解決策を出すかよりも、解決策の提示前にお客様に「言いたいことを全て言えた」「話をちゃんと聴いてもらえた」と思ってもらうことが大切です。

■「魔法のクロージング」感謝を伝える

 クレームを円満に終結させるためには、お客様を「褒めて伸ばす」ことがポイントになります。たとえばクロージングの前のステップとして、こんな言葉を使ってみましょう。
 「お客様、今回は○○(クレームの内容)について教えていただきありがとうございます」
 この言葉を言われると、お客様は、「あれ?自分はクレームを言っていたはずなんだけどな?」と考え始めます。そこですかさず、お客様を「褒めて伸ばす」ための、次の言葉をかけます。「お客様に教えていただかなければ、私は気づくことができませんでした」。さらに、次の言葉をたたみかけましょう。「お客様に教えていただいたことによって、他のお客様にもご迷惑をおかけしないですみました。ありがとうございます」。解決策提示のあとにこの3つのフレーズをポンポンポーンと投げかけることで、お客様の感情は一気に「えっ、そう?もしかして私っていいことしちゃった!?」と、プラスの方向に変わるのです。
 魔法のクロージングとは、このように、「あなたのしたことは素晴らしいことなんですよ」と、対応側の人間が感謝を示すことで、クレームをつけてきたお客様を、良きアドバイスをしてくれた人に変えてしまうことを実践しましょう。
 ハードクレームの方であっても、私はよく「いやー、本当にもうアドバイザー契約をさせていただきたいぐらいです」と、最後は笑いながらクロージングしていました。この言葉で気持ちが通じ合わなかったことはありません。
 クレームを言った方の75%は、クレームを言ったことを後悔しているというアンケートのデータがあります。つまりクレームを言って対応者から事務的な対応をされ悲しい気持ちになったり、自分の勘違いを指摘され、恥ずかしい思いをしたお客様が少なくないということです。お客様に感謝の気持ちを伝えるよう心がけてください。


執筆者
谷 厚志(たに・あつし)

クレーム・コンサルタント
企業のお客様相談室で2000本のクレーム対応に接し、「クレーム客をお得意様に変える対話術」を確立。現在は全国でコンサルティングと年間200本の講演活動を行う。著書に「怒るお客様こそ、神様です!」がある。日本クレーム対応協会代表理事。

掲載:東商新聞 2014年12月10日号

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