クレーム客をお得意様客に変える方法

第3回 怒りを笑顔に変えるクレーム対応とは…

2015年9月15日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2014年11月20日号

クレームへの対応とクレーム客を得意様客に変える方法を紹介します。(全5回)

 実は、悪質なクレーマーというのは稀にしかいないものです。ではなぜ、世の中には悪質クレーマーが多いと言われているのか?それは、問題解決に尽力すべきはずの対応側が、お客様をモンスタークレーマーに変えてしまっているからです。
 では、お客様をモンスタークレーマー化させない、「怒りを笑顔に変える対応」はどうすればいいのか。お伝えしていきましょう。
 クレーム対応は「お詫び」と「共感する」のステップを踏むだけで、80%のクレームは解決してしまいます。順に説明していきます。

■「お詫び」-謝罪は限定付きで

 「クレーム対応をしていて困っていること」についてアンケートをとると、回答でダントツに多いのが、「お詫びしていいのかどうかが分からない」ということです。クレームに対して謝ってしまったら、賠償金を支払わなければいけないのではないかという不安があるわけです。
 ある会社では、クレームには「謝ってはいけない」と教えているそうですが、私のセミナーでは、「100%謝ってください!」とお伝えしています。しかし、それにはひとつ大切な条件があります。謝罪は謝罪でも、「限定付き」にするということです。
 最初からひどい剣幕でクレームをあげてくるお客様に対し、そのクレームにどんな背景があるかわからない内に「申し訳ございません」と全面的に謝ってしまうと、「あなた謝りましたよね?」といつまでも言われる恐れがあります。だから最初から「申し訳ございません」「恐縮でございます」という全面謝罪はしないほうが賢明です。
 クレーム対応の最初にやるべきことは、「限定付き謝罪」です。具体的には、何に対してお詫びをするのかということを明確にして、それについてお詫びをするということです。
 たとえば、「ホテルの部屋が汚かった」というクレームの場合は、「お部屋にご満足いただけなかったようで、申し訳ございません」という対応になります。クレーム対応のオープニングでは、こうした「ご満足いただけなかった」「ご期待に沿えなかった」「嫌な気分にさせてしまった」というお客様の気持ちに対して、まずはお詫びをするということが重要です。このことによって、お客様との対立関係を「対話」に変えることができます。

■共感する-お客様の話を理解する

 次にポイントとなるのが「共感」です。実は、クレーム対応に効果的な共感の言葉というものがあります。それは、次の2つです。
・「そうだったのですね」「そのようなことがあったのですね」
→お客様からお話を引き出すために、この言葉を差し挟んでいきます。
・「お客様のお気持ち、よくわかります」「お話、よく理解しました」
→お客さまの期待していたことや残念な気持ちに理解を示す。
 クレームをあげてくるお客様の中には、言葉で話していることと、本来の希望・要望が全然違っているという方がとても多くいらっしゃいます。クレームの根底には、心の問題ともいえる深い部分での問題が少なからずあるからです。
 そのため、クレーム対応では、「申し訳ございません」と何回も謝るよりも、1回の共感の言葉を投げかけるほうが、はるかにお客様の感情をやわらげることができるのです。
 お客様は解決して欲しいからクレームを言うのではなく、分かって欲しいから言うのです。お客様の怒りの感情をないがしろにして物理的な解決策(返金や料金の値引きなど)を出してもお客様との良い関係は築けません。お客様の気持ちに寄り添うような共感の一言、「そうでしたか。そんなことがあると嫌なお気持ちになりますよね」と心情を理解していることを伝えることが大切です。


執筆者
谷 厚志(たに・あつし)

クレーム・コンサルタント
企業のお客様相談室で2000本のクレーム対応に接し、「クレーム客をお得意様に変える対話術」を確立。現在は全国でコンサルティングと年間200本の講演活動を行う。著書に「怒るお客様こそ、神様です!」がある。日本クレーム対応協会代表理事。

掲載:東商新聞 2014年11月20日号

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