観光を科学する

第2回 インバウンド消費の経済効果

2015年1月20日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2014年2月10日号

訪日外客誘致(インバウンド)の現状とその課題や対策について紹介します。(全3回)

2013年の訪日外客数は1036万人に達し、前年比24%増を記録した。日本政府観光局(JNTO)が1964年に統計を取り始めて以来初めて一千万人を超える快挙である。上位3カ国は、韓国(246万人)、台湾(221万人)、中国(132万人)が占め、台湾、香港(75万人)、タイ(45万人)、シンガポール(19万人)、マレーシア(18万人)、インドネシア(14万人)、ベトナム(8万人)、インド(8万人)、豪州(25万人)、フランス(16万人)からの訪日外客が過去最高を記録した。これらの訪日外客がもたらす日本国内での消費(インバウンド消費)は、日本人による旅行消費と共に大きな経済波及効果を生んでいく。

日本の旅行消費額概観
 11年のわが国の旅行消費額は、22.4兆円であった。これは、観光・レジャー、業務、帰省目的で人が移動したことにより発生した消費の全体額である。内訳は、日本人国内宿泊旅行が15.1兆円(67.5%)、日本人国内日帰り旅行が4.9兆円(22.1%)、日本人海外旅行(国内分)が1.3兆円(5.9%)、訪日外国人旅行が1兆円(4.5%)である。産業連関分析によると、生産波及効果46.4兆円(対国民経済計算産出額の5.1%)、付加価値誘発効果23.7兆円(対名目GDPの5.0%)、雇用誘発効果397万人(対全国就業者数の6.2%)、税収効果4.0兆円(対国税+地方税の5.1%)となり、すそ野の広い経済効果が期待できる。しかも、この消費額は、世界的にみても巨大である。国連の一組織である国際観光機関(UNWTO)が定めた算定方法(観光サテライト勘定:TSA)を採用している観光先進国のなかでは、米国、ドイツに続いて、世界第3位に位置している。両国と日本の違いはインバウンド観光比率が低いことであり、米国が14.7%、ドイツが13.2%であるのに、日本は4.5%である。訪日外客による消費増が政策の重要な目標になろう。

すそ野の広い経済波及効果の実現へ
 13年のインバウンド消費について、訪日外客による旅行消費額は1兆4168億円(前年比30.6%増)と推計されている。訪日外客数と同様に過去最高である。訪日外客の旅行消費額を国別にみると、中国(2759億円、19%)、台湾(2475億円、17%)、韓国(1978億円、14%)、米国(1362億円、10%)が上位であり、人数では3位であった中国の訪日外客の消費額の大きさが目立っている。
 費目の内訳は、宿泊費(4763億円、33.6%)、買い物代(4632億円、32.7%)、飲食費(2904億円、20.5%)、交通費(1480億円、10.4%)等となっている。訪日外客一人あたりの日本滞在中(旅行中)支出額は平均で約13.7万円と推計され、分布をみるとオーストラリアが最も高く21.3万円、ロシアと中国が21.0万円、フランス20.4万円と続く。
 訪日外客消費を伸ばしていくためには、訪日外客数の増加はもちろん、一人あたりの旅行中支出単価が高い国・地域からの誘客の拡大や、各国・地域ごとに単価自体を上げていくことも重要である。さらに、すそ野の広い経済波及効果を実現していくためには、できるだけ日本国内で生産・加工し、仕入れた商品・サービスを購入してもらうことである。これによって、日本製品のファンづくりにも貢献することができる。


執筆者
首都大学東京 都市環境学部 特任准教授 矢ケ崎 紀子

掲載:東商新聞 2014年2月10日号

以上