始めよう!知的資産経営 自社の強みを“見える化”

第2回 知的資産経営報告書とそのメリット

2014年7月8日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2013年3月10日号

知的資産経営とは、知的資産(=「強み」)を把握し、それを活かして業績(企業価値)向上に結びつける経営です。知的資産経営報告書の作成とその活用事例について紹介します。(全5回)

1. 知的資産経営報告書とは
 知的資産とは、技術力や組織力、ネットワーク力など、目に見えにくい資産であり、企業の強みとなり、企業競争力の源泉となるものです。
 知的資産経営報告書とは、①自社にはどのような知的資産があり、②その知的資産がどのように経営に活かされているか、を明らかにするものです。
 平成19年には、(独)中小企業基盤整備機構から「中小企業のための知的資産経営マニュアル」が示されました。
 それによると、知的資産経営報告書の標準的な構成は次のようなものとされています。

2. 知的資産の棚卸と構造把握
 知的資産とその活用を明らかにしていくために、まずは自社の知的資産の棚卸を行います。そのための入り口としては、SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威の分析)が有効です。
 そこで得られた強みをよく吟味した上で、再抽出された強みを、「人的資産(人に依存する資産)」「構造資産(会社組織に帰属する資産)」「関係資産(外部関係者との間に存在する資産)」の観点からとらえ直してみます。
 また、いくつかの知的資産は、「因果関係」や「補完関係」といった相互関係をとりながら、業績(企業価値)の向上に結びついています。そうした構造を図に整理して把握してみることも効果的です。

3. 知的資産の活用の具体化
 知的資産は、経営に活かされてこそ意味があるものとなります。どのような知的資産(強み)が、自社のビジネスプロセスのどこで、どのような働きをし、それがどのような顧客価値に結びついているのかを分析し、今後のさらなる有効活用の方策も検討します。
 また、そうした知的資産の経営への活用を、意識的にマネジメントしていくために、知的資産の活用度を管理する指標(KPI)を明らかにしていくことも求められています。

4. 知的資産経営報告書の作成
 このように分析検討した知的資産とその活用を、知的資産経営報告書としてまとめます。読み手に理解してもらいやすくするために、論理的かつ歴史的に、ストーリー仕立てでまとめていくことが推奨されています。

5. 知的資産経営報告書の効果
①事業内容が見える化され、取引先や顧客からの信用度が高まり、営業促進につながります。
②会社の非財務情報が見える化されるため、資金を調達する際、金融機関への説明に役立ちます。
③事業展開における価値創造や将来ビジョンが見える化され、人材採用に役立ちます。
④社員1人ひとりの仕事がどのように企業価値につながるかが見える化され、従業員の意識向上につながります。
⑤経営者と後継者が一緒に作成することにより、事業承継に役立ちます。
⑥そして何より、経営者自身の自社経営のあり方の再確認に役立ちます。

 次回は、製造業企業の知的資産経営報告書事例を紹介します。


執筆者
中小企業診断士 土田 健治

掲載:東商新聞 2013年3月10日号

以上