日本経済を読み解く おさらい!経済統計データの基本

第3回 GDP中最大のシェアを持つ 家計消費関連データを読む

2014年6月6日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2013年4月10日号

多くの経済活動を定量的に示す統計データの読み方の基本を、時事的な話題とともに解説します。(全8回)

「アベノミクス」といえば「2%のインフレ目標」と思われる方が多いでしょう。しかし、その政策の最終目的は、デフレ脱却による経済成長率の回復です。物価が上がっても成長率が上がらない、あるいは鈍化したのでは、全く話になりません。

 ではこの成長率とは何か?一般にはGDP(国内総生産)の伸び率として示されます。ある国の経済活動がどれだけのピッチで拡大しているかを示します。GDP自体については本連載で後刻説明しますが、今回、次回はGDPを支える最大要素である個人消費の動向から始め、それと強い関連を持ついくつかのデータについて、連想法的に説明していきます。


●小売業販売額、消費支出
 個人消費がGDPに占めるシェアはおおむね6割弱と最大の構成項目です。そのデータは大きく2つあります。1つは販売者側からのデータで、もう1つは「どれだけ消費したか」という家計から見たデータです。
 前者のデータとして重要なのが「小売業販売額」。経済産業省が毎月発表する「商業販売統計」中におさめられています。
 一方、「どれだけのお金を消費にあてたのか」という需要側から集計されたデータが、総務省統計局が毎月発表する「消費支出」データです。これは「家計調査報告」としてまとめられた勤労者家計に関するデータの一部を構成します。家計に対してアンケートを行い、そのデータを集計して得られたデータです。
 以上2つのデータは当然のことながら、おおむね似たような動きを示します。最近では、昨年春にピークを付けた後はおおむね低調に推移しています。これは多くの読者の方の実感通りのデータではないでしょうか?

●現金給与総額
 以上の個人消費を左右する要因はいくつかありますが、うち最も重要なのは「入り」です。つまり、どれだけの収入を得ているかです。「出る」は「入る」によって規定されるのは当然ですね。
 これを最もわかりやすく示してくれるのが「毎月勤労統計」中の「現金給与総額」です。つまり、勤労者が現金として受け取った給与総額を示すものです。これには定例給与のほか賞与、期末手当などの特別給与も含まれます。

●所定外労働時間
 前項の「給与総額」は直接的には何によって変動するでしょうか?会社にお勤めの方なら先刻ご承知のとおり、月々の支給額を動かす最も大きな要因は「時間外手当」です。そしてこれを決定付けるのが「時間外労働時間」です。定例の就業時間以外に働いた時間がカウントされたものです。
 景気の良い時には一般に仕事の量が増え、それとともに時間外労働時間も増えます。勤労者の多くはある程度の「時間外労働時間」をカウントしたうえで「給与総額」を想定しています。ところが、最近では景気の低迷に伴って、時間外労働時間も短くなり、現金給与総額も減少するという傾向がますますはっきりしてきています。
 以上の「現金給与総額」「所定外労働時間」はともに厚生労働省が毎月、発表します。

●完全失業率
 個人消費を左右する要因の1つが、失業率です。労働力人口(就業者数+完全失業者)に占める完全失業者の割合を示します。総務省が毎月発表する「労働力調査」で明らかにされます。
 この調査を見るうえで重要なのは、「就職活動をしても思うように職場を探せない」とあきらめてしまった人が増えると、その人たちは失業者とはみなされなくなるということです。この場合、実際には失業しているにもかかわらず失業者は減り、結果的に失業率が下がるといったこともあるのです。


執筆者
株式会社金融データシステム 代表取締役 角川 総一

掲載:東商新聞 2013年4月10日号

以上