経営に役立つフレームワーク

第7回 価値曲線 顧客価値のメリハリ具合を可視化する価値曲線

2013年10月18日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2013年2月20日号

事業の分析や戦略づくりに役立つ代表的なフレームワークを紹介します。(全7回)

 ブルーオーシャン戦略は、まだ生まれてもいない未知の市場に対して低コストと差別化を両立させるものです。これは新しい商品のコンセプトを考える際にとても役に立ちます。ブルーオーシャン戦略にまつわるフレームワークはこの連載でもしばしば取り上げています。ここでは、「価値曲線」というフレームワークを使い、どうしたら魅力的で独自性の高い商品づくりが可能なのか、考えてみましょう。
 新しい市場を作ったり、後発で参入したりする際には、差別化が非常に重要な鍵となります。本当に自社の提供価値はターゲット顧客に対して、差別化されているのか?そこがポイントです。
 価値曲線のフレームワークは、自社と競合の商品・サービスの特徴や顧客ニーズを項目別に分けて、その優位性を折れ線グラフで表したものです。横軸に項目名、縦軸にそのレベルの高さを示します。横軸にあげる項目は、顧客がサービスを選択する際に、どのような項目が判断基準となるか、をピックアップします。代表的なものとして、価格や製品を手に入れる手間、アフターサポート、品質などがありますが、顧客の視点で、なるべく具体的な項目をあげていきましょう。
 価値曲線作成の目的は、独自性を発揮することで、ブルーオーシャンとなりうる新しい市場を見つけ出すことにあります。ですから、なるべく競合と価値曲線を比べたときに、見た目にメリハリがなければいけません。力を抜くところは徹底して抜き(=無駄なところにコストをかけない)、他社が力を入れていないポイントに集中して力を入れること(差別化ポイント、製品をユニークなものとする特徴)が重要です。その結果、価値曲線の形は他社のものに比べて大きく異なるはずです。
 製品やサービスというものは、提供側が思っているほど差はないものです。通常、ほとんどの会社は自社の商品やサービスには差別化ポイントがあると考えています。しかし、残念ながら、顧客の視点に立ってみると意外なほど、差がありません。ですから、価値曲線に価値要素をプロットしたときに、なるべく大胆に異なる形状になるようなメリハリが必要なのです。
 例として、仮にあなたの会社が中高年向け携帯電話あるいはスマートフォンを作ろうとしていると考えてみてください。一般的な携帯電話は10代、20代の若者向けにワンセグや映像機能など機能が充実しています。また、デザイン性は高いですが、多くの場合、操作が難しく中高年にとっては覚えるのが大変です。上記の価値曲線では、中高年向けの携帯の価値曲線として、大胆に機能を削ぎ落として価格も抑え、その分、文字の読みやすさや操作性に軸足を置いている戦略がよくわかります。どの部分を捨て、どの部分に集中したかが、価値曲線を比べると一目瞭然です。差別化とは、このようなことです。
 ほかにも、ブルーオーシャン戦略の代表的な成功例として、アップル社や任天堂が挙げられますが、アップルのiPhoneとほかの携帯電話、任天堂のWiiとほかのゲームメーカーの製品の価値曲線をプロットしてみてください。その形が大きく異なることがわかると思います。
 優れたブルーオーシャン戦略を実行している企業や商品には、メリハリのある価値曲線、高い独自性とそれを買い手にセンセーショナルに伝えるキャッチコピーがあります。ぜひ、競合企業と自社の商品を比較してみてください。あなたの商品はどの程度のメリハリがあるでしょうか?

(知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志)


執筆者
知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志

掲載:東商新聞 2013年2月20日号

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