経営に役立つフレームワーク

第6回 買ってくれない理由を分析する「非顧客の3分類」 買った理由より、買わなかった理由のほうが大事

2013年10月18日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2013年2月10日号

事業の分析や戦略づくりに役立つ代表的なフレームワークを紹介します。(全7回)

 従来の伝統的なマーケティングでは、顧客ターゲットをより絞り込んで、そのニーズに対して訴求することを中心にやってきました。いかにセグメンテーションするか、を重視していたのです。
 しかし、INSEAD(欧州経営大学院)教授のチャン・キムとレネ・モボルニュ両氏が提唱して、一大ブームを作り出した「ブルーオーシャン戦略」のように、従来の固定観念を取り払い、新しい市場を創造するためには、これまでにない顧客のニーズを汲み取って、これまで顧客でなかった非顧客に商品を買ってもらう必要があります。そのためには、「なぜ、これまで買わなかったのか、どうすれば商品を買ってくれるのか?」をしっかり検討することが大切です。
 ブルーオーシャン戦略では、市場の境界線を引き直すために、非顧客を現在の顧客からの距離によって3つのグループに分類しています。
 非顧客の第1グループは「消極的買い手」です。消極的買い手は、現在顧客ではあるけれど、いつでも逃げ出してしまいそうな顧客です。購買に積極的ではなく、できれば代替品で済ませたいと思っている人です。いわゆるスイッチングコストの低い顧客で、離脱する可能性が極めて高い層です。サービスに対して不満のあるまま放置されると、解約や競合へ流れる可能性があるから注意が必要です。彼らがなぜ、代替品で済ませたいのか、それをしっかり分析する必要があります。
 非顧客の第2グループは「利用しないと決めた買い手」です。その製品や業界に対して否定的な人です。過去に強い不満や不都合な経験があり、「もう買わない!」と決めた人です。このネガティブな感情を取り除かないことには顧客になりません。どのような経験がそうさせているのか、どうすれば考えを変えることができるのかを検討していかなければなりません。こうした顧客は、サービスに対して固定観念がありますが、一度は検討した顧客層であり、ネガティブ部分を払拭することで、新たな顧客にできる可能性があります。
 非顧客の第3グループは「市場から距離を置く買い手」です。そもそも同じ業界の製品も買わないし、代替品も利用しない買い手です。コアターゲットから最も遠い買い手で、サービスを自分と関連あるものと認識していません。しかし、潜在層は非常に大きなマーケットであり、こうした潜在顧客を取り入れることができれば、大きな市場を作り上げることができます。
 いずれにせよ、非顧客に共通する買わない理由が何かを突き詰める必要があります。そのため、これら3種類の買わない理由を探し、それを解明し、解消することができれば大きな売上アップのトリガー(引き金)になる可能性があります。
 例えば、急増するスマートフォンでは、新しい物好きはすぐさま購入しましたが、まだ購入していない携帯ユーザーも多くいます。トレンドに敏感なユーザー層が落ち着いた後は、購入しなかった非顧客に対して働きかけないと大きな成長は見込めません。あなたが販売責任者であれば、どのような訴求をすると潜在顧客が購入してくれると思いますか?「操作が難しそう」「月額費用が負担」「セキュリティが心配」「バッテリーが持たなさそう」「どれを選べばいいかわからない」「自分で何に使えるかわからない」など、いろいろな潜在顧客の買わない理由を検証し、新しいソリューションによって価値を提供できれば、より多くの顧客を獲得することが可能となるのです。

(知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志)


執筆者
知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志

掲載:東商新聞 2013年2月10日号

以上