経営に役立つフレームワーク

第4回 AISAS(あいさす)理論

2013年10月8日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年12月20日号

事業の分析や戦略づくりに役立つ代表的なフレームワークを紹介します。(全7回)

 かつて消費行動の心理プロセスをモデル化したものとしては、「AIDMAの法則」が有名で、広く認知されてきました。AIDMAは、Attention(注目)、Interest(関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)という消費者が商品を購入するまでの心理プロセスを示したものです。従来の広告出稿や販売促進活動では、この心理プロセスを考慮したマーケティング戦略がとられてきました。
 しかし、誰もがインターネットで商品を検索したり、ブログで感想を書いたりするようになった現在、AIDMAの法則では説明のつかない部分が多くなりました。そこで、AIDMAの代わりに浮上してきたのが「AISAS理論」です。
 AISAS理論(あるいはAISASの法則)は、主にインターネット時代における消費行動のプロセスをモデル化したものです。AISAS理論によれば、ネットマーケティングやEコマースにおける消費行動は、以下のようなプロセスに分解されます。

1.Attention(注目):たとえばTVCM、マス広告などで商品の存在を知る。
2.Interest(興味):面白そうだなあ、と興味関心を持つ。
3.Search(検索、評価チェック):ネットで商品名を入れて検索、あるいは購入者や識者の口コミをチェック。
4.Action(購買):ネット通販や店舗で実際に購入する。
5.Share(情報や意見を共有):その感想をまたブログや掲示板に書き込む。

 この法則は大手広告代理店が提唱したものです。同社の報告書「ネットアクティブ男女の情報&消費生活」によれば、サイトを頻繁に利用している消費者では、商品を知ってから購入するまでの過程で「検索、評価チェック」と「意見共有」が加わるため、ネットの特色を活かした新たな企業広告づくりが求められると提言しています。
 AISAS理論が誕生した背景には、ネットにおけるCGM(消費者が作るメディア=Consumer Generated Media)の台頭があります。従来のマス媒体に代わり、ミクシィやFacebookなどのSNS、アメーバなどのブログ、Twitter、2ちゃんねるなどのBBS(電子掲示板)等々、消費者から消費者へのネット口コミが商品購入の際にたいへん重要視されるようになったのです。
 「検索」と「情報共有」が購入決定の要因として重視されるようになって、マーケティングも様変わりしつつあります。テレビやラジオのコマーシャル、電車の車内広告などにおいても最終購買手段、あるいは詳細情報の発信元をWebサイトと考え、そのURLの告知をしたり、「○○で検索!」など自社サイトへの誘導を図ったりする「クロスメディアマーケティング」も浸透してきました。
 ただし、このAISAS理論は、大手広告代理店が提唱するだけあって、前述のクロスメディアマーケティングをベースに考えられています。広告代理店は、TVCMなどがドル箱ですから、当然といえば当然でしょう。しかし、実際のネット購入者が商品の存在を認知する手段は多種多様です。口コミで知ることもあれば、商品カテゴリーごとのポータルサイトなどで商品に出会うことも多いのが実情でしょう。リアル店舗で商品を確認して、買うのはネットショップというユーザーも増えていることを考慮すると、いかにネット上でのプレゼンスを高めるかは、小売業にとっては死活問題になっているといえるではないでしょうか。

(知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志)


執筆者
知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志

掲載:東商新聞 2012年12月20日号

以上