経営に役立つフレームワーク

第2回 PLC(プロダクト・ライフサイクル) 

2013年9月30日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年11月20日号

事業の分析や戦略づくりに役立つ代表的なフレームワークを紹介します。(全7回)

 前回は、PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)という、企業が持つ製品群を投資ステージという視点で整理し、さらに大きくすべき製品と撤退すべき製品を明確にするフレームワークを紹介しました。
 今回は、1つずつの製品について、その「人生(生まれて、成長し、老いていく)」を可視化するフレームワーク、PLC(プロダクト・ライフ・サイクル)をとりあげてみたいと思います。
 どんな製品にも「寿命」というものがつきものです。数十年、人気が続くような製品はまれで、ほとんどの製品は、いつかその役目を終えて、市場から消えていく運命にあります。こうした、製品の寿命を4つのステージに分けたモデルがPLCです。PLCでは、各ステージにおける市場成長率、資金需要、マーケティング戦略について以下のように変化するとしています。 
 まず、認知が重要な「導入期」です。これは製品が市場に投入されて、買い手に認知される最初のステージ。とかく、「認知」が重要なので、マーケティング的には実際に製品を手にとってもらえるように、流通への働きかけや見込み客へのサンプリングなど「認知度」を高めていくことが最重要です。このフェイズではかなりの資金が必要になります。 
 次に、売上が伸び、新規参入も出てくる「成長期」。買い手に認知されて、売上が急速に伸びるステージです。この成功を見て、新規参入する企業も相次ぎます。ここでは、追随する企業に打ち勝つためにも、設備や営業の強化などさらなる資金が必要となります。たとえば、スマートフォンなどが好例です。 
 そして、市場成長が鈍化し、シェアを奪い合う「成熟期」。需要が落ち着いて、売上の伸びが鈍化するステージ。新規参入企業も少なく、シェアは安定しています。しかし、成熟した市場では、価格競争も激しく、限られたパイを奪い合うため、しだいに企業は消耗していきます。例として、家電などが考えられます。
 最後に、そろそろ撤退のタイミングをうかがう「衰退期」。市場が縮小傾向にあり、売上が低下してくるステージです。資金需要は少ないですが、製品寿命の末期となりますので、撤退のタイミングを検討することが重要になってきます。 
 PLCは1つの製品の寿命を可視化したものですが、実際にはこれに当てはまらないものも数多くあります。 
 たとえば、猛烈にブームになったあと、潮が引くように冷めていく「一発屋型」、ファッションのように、一定のサイクルでブームが再燃する「サイクル型」、人気は小ぶりですが、長い間製品寿命が尽きない「持続型」などさまざまなタイプがあります。いったん、成熟期になっても、ダイソンのサイクロン掃除機や羽のない扇風機のように、イノベーションで新しい需要を喚起することもあります。この場合は、成熟期から、また成長期に入るというラインになるでしょう。人によって寿命や人生における運気が時期によって異なるように、PLCもさまざまです。また、製品だけでなく、企業もまた、成長期があれば、衰退期があります。そして、長年、持続する企業は一握りだというのも現実です。 
 前述のとおり、成熟期や衰退期にあっても、従来と異なるアプローチで新風を吹き込むことができれば、何度でも成長期を作ることはできます。企業も、製品も、長期に渡って繁栄するためには、イノベーションが不可欠です。 

(知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志)


執筆者
知的生産研究家、株式会社ショーケース・ティービー 取締役COO 永田 豊志

掲載:東商新聞 2012年11月20日号

以上