事業承継相談室 

第6回 昔からの役員、社員との関係

2013年7月18日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年5月10日号

事業継承に関するさまざまな問題について、東商荒川支部の事業継承研究委員会の相談員がアドバイスします。(全6回)

◆相談内容◆
2年前に父が経営する自動車部品メーカーに入社、昨年より次期代表者を見据え、取締役となりました。やる気になっているところですが、昔からの役員や社員との関係がうまくいきません。ISO認証取得の主担当として社内調整していますが、彼らと意見が割れることが多く、思うような行動が取れず困っています。もう一度父から話をしてもらうのが早道でしょうか。


◆相談員の意見◆
<相談員A>現経営者からお話をされるだけでは、役員、社員の皆さんは真剣にこのプロジェクトに参画してくれないように思えます。また、後継者候補である相談者が、現経営者に頼るばかりでは、リーダーシップの欠如として周囲からの視線は厳しくなる不安もあります。

<相談員B>今取り組んでおられるISO認証取得には、自社の業務フローをしっかりと踏まえることが本質的なポイントです。今、この業務フローを熟知しているのが、古くからの役員、社員だと考えられます。

<相談員A>彼らからすれば、入社して間もない後継者に対して「実務は何も分かっていないではないか」、そんな思いがあっても不思議はありません。彼らの豊富な経験、ノウハウを「この機会に吸収させていただきたい」、そんな気持ちで接する姿勢こそが求められているのかもしれません。

<相談員B>それでもなお、彼らが反対ばかりの行動、言動を繰り返すなら、現経営者に事情を話し、強権で動かすほかないかもしれません。さらに踏み込むならば、事業承継の際、彼らにも現経営者と一緒に退いてもらうことも視野に入れる必要がでてきます。

<相談員A>社員も相談者のことを見ています。社員が相談者について行きたい、と思うような立ち居振る舞いをしなければ、次の代を担う従業員もついてきません。同時に、どのような人が将来、自分の片腕となるのか考えるきっかけにもなるでしょう。

<相談室長>現代表者の方からすれば、これは後継者教育の一環と捉えていいかもしれません。このようなプロジェクトを通じて人間関係を築き、仕事の連携が図れるかを試す意図も見え隠れしています。あえて息子さんにこのプロジェクトを任せた意図をもう一度お考えいただいてもよいかもしれません。

※このほかにも様々な事例を東商荒川支部のホームページで紹介しています

(荒川支部 事業承継研究委員会)


執筆者
東京商工会議所 荒川支部 事業承継研究委員会

掲載:東商新聞 2012年5月10日号

以上