事業承継相談室 

第4回 父(現経営者)とどう向き合うべきか

2013年7月8日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年4月10日号

事業継承に関するさまざまな問題について、東商荒川支部の事業継承研究委員会の相談員がアドバイスします。(全6回)

◆相談内容◆
父が社長を務める金属加工業の専務(44歳)です。今、悩んでいることは、いつになったら、自分自身の意思が実行に移せるのか、責任ある立場にはいつなれるのか、ということです。例えば先日も、稼働率引き上げ、新規顧客獲得を実現させるため、新鋭機投入を提案しましたが、慎重な父には反対されました。どのように父と向き合って話したらよいでしょうか。


◆相談員の意見◆
<相談員A>親子の感情論もあるとは思いますが、今後の会社経営の共通認識を持つ努力から始めてはどうでしょう。

<相談員B>例えば、現状における会社の強みと弱みや、将来における会社のビジネスチャンスと脅威を議論されることをお勧めします。親子で話し合う雰囲気が作りにくければ、中小企業診断士のような専門家に入ってもらうのも一つの方法です。

<相談員A>その上で、事業承継の時期・方法等を焦らずに話し合いましょう。内容的には、経営会議というよりも、家族会議といえるかもしれません。例えば、お父さんの健康状態や人生観、会社に対する想い、今後の人生設計などを知ることも事業承継における大事な要素です。ここまで話ができれば、バトンタッチへの迷いや心配事など、お父さんの本音も見えてくるかもしれません。

<相談員B>お父さんの心配事の例として「自分の老後資金が心配」「現役から外れると生き甲斐をなくしてしまう」「先が見えない会社を継がせたくない」などがよく聞かれます。直接の話し合いで明確にならないときは、お母さんなどに頼んで、さりげなく聴いてもらうのもよさそうです。

<相談員A>お父さんとしては、息子さんに経営者の資質があるかどうか見極めたいとお考えだと思います。

<相談員B>今回のケースでも、設備投資に対する経営計画が作成できているか、言葉だけではなく具体的な数字が示されているか、そのあたりも気にしているかもしれません。

<相談室長>一般的に、金属加工業は下請けの立場の仕事が多いと思われます。こちらの会社もそうであれば、大手製造業の海外移転を受け、中小企業自らの手で市場を開発しなければならない時代に入るかもしれません。繰り返しになりますが、まずは、お父さんと息子さんで会社経営における共通の認識を持つことが大切です。親子といえども目指すことは一つ、会社のさらなる繁栄でしょう。

(荒川支部 事業承継研究委員会)


執筆者
東京商工会議所 荒川支部 事業承継研究委員会

掲載:東商新聞 2012年4月10日号

以上