事業承継相談室 

第2回 後継者が見つからない

2013年6月28日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年2月20日号

事業継承に関するさまざまな問題について、東商荒川支部の事業継承研究委員会の相談員がアドバイスします。(全6回)

◆相談内容◆
親(72歳)が運送業を営んでいます。私(36歳)は長男ですが、心臓内科医として大学に勤務しており、親の事業を承継していくことができません。数人の従業員も抱えており、悩みは深刻です。

◆相談員の意見◆
<相談所長>親の意見を聞いていないならばきちんと家族会議をすべきです。親からは息子さんへの思いや、この事業に対する思い入れ、将来に対する考え方を聞けるはずですし、相談者からも、継ぐ気がないなら、はっきりと意思を告げることがまずは大事ではないでしょうか。

<相談員A>会社の経営状況、財務状況はどうでしょうか。黒字なのか赤字なのか、借金はどのくらいあるかによって、判断が変わってきます。もしかしたら、廃業の選択もありえますよね。身内であるが故に、きちんと話し合いの場を設けることが大切です。

<相談員B>身内が継がない場合は、次の選択肢として番頭さんをはじめ社内のメンバーから後継者を選ぶことを考えてはどうでしょう。ただし、後継者が身内でなければ、株式を誰が所有するのか、あるいは誰に所有してもらえるか、そうした問題がでてきます。

<相談員A>身内にも社内にも後継者がいない場合、外部から後継者を招聘しなければなりません。いわゆるM&A(現在のオーナーが外部の”後継社“に会社を譲ること)は身売り、乗っ取りをイメージする人が多いですが、実際は後継者対策の一つです。

<相談員B>M&Aの場合、自社の強みと弱みを把握し、会社所有と個人所有の資産・負債を明確にするのが検討の第一歩です。公私混同が目立ったり、事業に強みのない会社は誰も引き継いでくれませんが事業に魅力のある会社は”後継社“として名乗りを上げる会社も多いです。相談者の事業は運送業ですから、「よい荷主と直接取引をしている」「高速道路や荷主から近い好立地にある」「従業員教育が行き届いている」などの魅力があれば、M&Aを活用することができると思います。東京商工会議所の事業引き継ぎセンターなどM&Aの相談に応じている窓口もあります。

<相談所長>親は子供を医者にした時から、事業を継いでもらえない覚悟をしているかもしれません。それでも親子が本音でじっくり話し合うことが、どのような結論になるにせよ重要です。当事者だけで話しにくければ、専門家に立ち会ってもらうのもよいかもしれません。双方で納得できる結論が出るといいですね。

(荒川支部 事業承継研究委員会)


執筆者
東京商工会議所 荒川支部 事業承継研究委員会

掲載:東商新聞 2012年2月20日号

以上