広がるソーシャルコマース

第3回 具体的な導入方法と今後の展望

2013年6月18日
東京商工会議所
掲載:東商新聞2012年12月10日号

桜丘製作所 代表取締役 宮坂 友大氏が、既存のEコマースをソーシャルコマースの活用で成長させるポイントなどを解説します。(全3回)

 前回は企業の実例を通じてソーシャルコマースを説明しました。最終回はソーシャルコマースの具体的な導入方法を紹介すると共に、今後の展望について述べて連載を結びたいと思います。
 まずは具体的な導入方法ですが、第1回の記事にも書いたようにソーシャルコマース自体には様々なタイプがあるため、その導入方法も色々なバリエーションがあります。もっともオーソドックスなタイプは、ソーシャルメディアのアカウントを開設して運用し、自社のコマースサイトに誘導していく方法です。facebookやツイッター、Pinterestのアカウント開設の手順に関してはネットや書籍で多数の紹介があるので、ここでは詳細を割愛しますが、重要なのはソーシャルメディアを使って自社のコマース事業をどうやって伸ばしていくかの戦略を明確にすることと、開設後の運用体制を整えることになります。特に運用に関しては、自社リソースでは足りないという事業者が多いため、初期段階は外注をしつつノウハウをため、次第に自社リソースでの運用に変えていくやり方も効果的です。
 次は、自社サイトでのユーザーの行動をソーシャルメディア上で拡散させるために、ソーシャルプラグインを埋め込む方法です。ソーシャルプラグインとは、ソーシャルメディアの一部機能を簡単に外部のサイトでも使えるようにしたもので、最近良く見かけるニュース記事の下の方にある「いいね!」ボタンなどを表示させる方法がそれに当たります。各ソーシャルメディアは開発者用のサイトでプラグインのコードの公開をしています。様々な種類がありますが、導入方法は比較的シンプルで、自社のサイトで表示させたいコードを取得して貼り付けるだけで、基本的な機能が備わったソーシャルメディアとの連携機能が自社サイトに埋め込まれます。ソーシャルメディアとの連携が行われると、自社の商品などが自社サイトで「いいね!」された際に、「いいね!」した人の友人などにバイラルして情報が広がっていきます。これはソーシャルメディアのアカウントを持たなくともソーシャルメディア上での展開が可能な手法です。
 最後はソーシャルメディア上で購入をさせる手法についてです。現在facebookなどのソーシャルメディアの中で、デフォルトでのコマース機能がついているものはほとんどなく、あってもまだ使いやすいものとは言い難いのが現状です。そこで必要となのが、ソーシャルメディア上でコマース機能を補完してくれるアプリケーションです。例えばfacebookのページ上で決済させることのできるアプリケーションを自社で制作することも可能ですが、システムの開発、特に決済システムには多大なリソースが必要なため、既存のパッケージ化されたサービスを使うのが効率的です。有名なところでは、GMOペイメントゲートウェイ社の「ソーシャルゲートウェイ」が挙げられます。すでに3,000以上の事業で使われており、スマートフォンにも対応しているため非常に便利です。こういったサービスを使用することで、ソーシャルメディア上での商品の紹介や決済が簡単に可能となります。ソーシャルメディア上で完結するコマースは、まだ発展途上ではあるものの、今後伸びていく可能性は大いにあるため、今から導入して知見をためていくのも良いでしょう。以上がタイプ別にわかれたソーシャルコマースの導入方法となります。
 そして、ソーシャルコマースの今後ですが、様々な発展の方向性が考えられています。例えば、前出のソーシャルメディア上で完結するコマースに関してですが、facebookはすでに機能拡張に動いています。pinterestを楽天が一部買収したことも、その流れを加速させる可能性は高いと言えます。facebook等のプラットフォームがソーシャルコマース機能を提供することにより、ユーザーも事業者側も今までよりもソーシャルメディア上でのコマースに参加するハードルは急激に下がると予測されます。また、ソーシャルメディア上でコマースに関する情報がより多く出ることになれば、今まで以上にネット上での口コミや、影響力の強い口コミをするユーザー(キュレーター)の重要性が増していく可能性は高いと言えます。いずれにしても、eコマースはソーシャルメディアの台頭により少なからず形を変えていくのは間違いがないので、その変化に順応していく必要性が事業者側にはあると言えます。


著者略歴
宮坂 友大 桜丘製作所株式会社 代表取締役

掲載:東商新聞2012年12月10日号

以上